平成7年度 研究紀要 Vol.25 個人研究4 -136/170page
傾向にある。物事に熱中するというよさを認めつつそれが友だちにも受け入れられ,認められるような指導援助をさらに工夫していく必要がある。
2研究の成果
本研究は,生活科の活動過程において,それぞれの場に応じた生徒指導・教育相談の機能を生かした指導援助を行っていけば,子ども相互の理解が深まり、よりよい人間関係を育てることができるだろうという見通しのもとに,自己表現活動の指導援助の在り方を検討し,実践してきた。その結果,成果として次のことがあげられる。
(1) 活動過程の中に自己表現活動の機会や場を位置 付けた意図的な指導援助によって,子どもが主体的に自己表現活動に取り組み,考えたり感じたりしたことをその子どもなりに表現する姿が見られるようになった。
(2) 子ども一人一人の自已表現活動の状況に即して 生徒指導・教育相談の機能を生かした具体的な指導援助の手だてを工夫したことは,子ども一人一人のよさを認め,自己存在感や成就感を味わわせるのに効果があった。
(3) 友だちとのかかわりをもち,深める活動は,友 だちとの交流を通して自己表現したことを友だちが受け止め,そのよさを認め合い,励まし合うなど交友関係を広げたり深めたりする場となり,子ども相互の理解を深めるのに有効であった。
(4) よりよい人問関係を育てるための子どもの自己 表現活動を生かした指導援助によって,生活科でめざす『具体的な活動や体験について,自分なりに考えたり工夫したりしたことを素直に表現する力』を育成することができた。
3 今後の課題
(1) 自己表現活動を生かしながらよりよい人間関係を育てていくためには,自己表現活動の流れを単元全体を見通して位置付けるなどゆとりをもたせ,さらに子ども同士の相互理解を深めていく必要がある。
(2) 友だちとのかかわりを深める活動では,友だちとの交流を通して,友だちの思いや考えを受け止め,認め合い,励まし合うことができ,ある程度の成果を得ることができたが,さらに,受け止め認めた思いを自分の思いとして相手に自己表現して返すというところまで高め,より深い人間関係づくりをめざしていく必要がある。
最後に,この研究にご協力いただいた相馬市立磯部小学校の校長先生はじめ諸先生方に,厚くお礼を申し上げます。
《参考文献》
○ 初等教育資料 No.636 Aug.1995
○ 児童心理特集「自已表現力を育てる」1995年11月号 金子書房
○ 児童心理特集「自分を表現できる子」1993年11月号 金子書房
○ 岩手県総合教育センター研究発表会発表資料「学級における児童の特性を生かす自己表現活動の指導に関する研究」1990年
○ 生活科授業の考え方・進め方1992年ぎょうせい