平成7年度 研究紀要 Vol.25 個人研究5 -138/170page

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など,実際に民族音楽を授業で扱うには間題が多いという意見が挙げられた。これとは別に「生徒が積極的に参加できる民族音楽の授業の在り方を考えたい」と言う積極的な意見が見られた。この意見は,これまでの「民族音楽」の学習が鑑賞指導中心で,主として知識・理解面に偏った指導と教師主導で行われてきた授業の傾向に対しての反省が込められている。

3 中学校での眠族音楽」の授業の現状から
中学校の授業でどのように民族音楽が取り扱われているのだろうか。その実態を調査した。(福島県立福島東高等学校,1学年音楽選択者118名に対するアンケート結果より)

(1) 中学校で「アジアの民俗音楽」の学習の経験があるか
(1) 中学校で「アジアの民俗音楽」の学習の経験があるか

 全体の約54%の生徒がその経験がなく,中学校でのその取り扱いは十分とは言えない。

(2) どのような領域で学習したか
(2) どのような領域で学習したか

 圧倒的に「鑑賞」の授業が多く,歌唱や器楽を伴った「表現」の領域としては取り扱われていないことが分かった。

(3) 学習した「アジアの民俗音楽」の内容は
(3) 学習した「アジアの民俗音楽」の内容は

 前項(2)と関連させると,インドネシアの「ケチャ」の鑑賞の授業が大部分で,その他の国々の「民族音楽」はほとんど取り扱われていないことが分かる。
 以上の結果からも生徒にとって意欲的に表現できる「アジアの民族音楽」の授業の在り方を探っていく必要があると感じる。

4「民族音楽」の教育的意義から  「民族音楽」とは,一般に,世界の諸民族の伝統的な音楽を指している。この「民族音楽」の様々な楽器の音色や歌唱湊など,それぞれの音楽の持つ独特の美しさに触れさせることは,これまで経験したことのない価値観を授業の中に導入することとなり生徒にとって音楽の世界が一段と広がり,音楽的視野が一段と拡大されていくことになると考えられる。
 また,それぞれの「民族音楽」をとおして,その土台となっている民族の心に直接的に触れることができるため,美や価値観の多様性を理解させ,他国の文化の理解への精神を育むことにもつながると考える。

II 研究の内容・方法

 平成6年度に,生徒が意欲的に表現できる「アジアの民族音楽」の教材化を目的に,特にインドネシアの「ケチャ」に視点を当て,その指導法の研究を行った。
 本研究は,そこから一歩進んで,「アジアの民族音楽」の諸原理を基にした生徒主体の「即興的表現学習」,すなわち「創作」(音楽づくり)によって「アジアの民族音楽」をより深く理解させようと考えた。具体的には,フィリピンの民族楽器「トガトン」を使った「パターンミュージックの音楽づくり」の指導の在り方と,その具体的な指導の手だてを追求することをねらいとするものである。
〈研究の計画〉
(1)先行研究,文献等の調査研究(7・8月)

(2)事前のアンケート調査(9・10月)

(3)「即興的表現」の進め方の研究(11月)

(4)授業実践及び考察(1月)

(5)研究の評価とまとめ(1・2月)


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