平成7年度 研究紀要 Vol.25 個人研究6 -149/170page

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(3) 食物領域における調理実習と調理実験の関係
 食物領域における調理実験を教科書や指導資料から検討し,下記のようにまとめた。
学年 調理実習 調理実験
5年

5年 調理実習

・ビタミンCの検出(洗い方,切り方と関連付けて)
・野菜の放水実験(味つけの時期と関連付けて)
・カロチンの油溶性(油いためのよさと関連付けて)
・カロチンの抽出(カロチンの色素抽出)

・加熱によるかさの変化(食べる量と関連付けて)
・卵の新古の見分け方(殻つきの状態と割った状態)
・ゆで時間と固まり具合(卵黄の状態を中心に観察)
・目玉焼きと水・蓋の関係(卵黄と卵白の観察)
・合成差色料の検出(市販のおやつの選び方)
・糖度,塩分の測定(市販のおやつの選び方)
・お茶の種類と湯の温度(お茶の入れ方)
6年 ○ごはん

○みそ汁
○じゃがいもの調理

○魚や肉の加工品を使った料理


○サンドイッチ
○紅茶
・米の吸水実験(吸水の必要性と吸水時間の関連)
・炊飯実験(水の量,加熱の仕方,米の変化の様子)
・みそ汁の塩分測定(1日の塩分摂取量との関係)
・じゃがいものゆで加減(大きさと加熱時間の関係)
・廃棄率(廃棄する皮や芽の部分の重さの関係)
・発色剤の検出(ハムの選び方)
・でんぷんの検出(ハム等の原材料の確認)
・合成着色料の検出(ウインナーやハムの選び方)
・バターの働き(はさむ材料によるパンの吸水状態の比較)
・レモンによる紅茶の色の変化(紅茶のすすめ方)
(4) 題材における調理実験の位置付け
 調理実験は,何をとらえさせたいかによって題材における位置付けを工夫していくことが大切である。
 ここでは,食品の栄養的特性に関する実験と調理性に関する実験とに分けて題材展開を考えてみた。
 1.食品の栄養的特性に関する調理実験について
 ア 調理実験の位置付け
 食品の栄養的特性に関する実験としては,ビタミンCの水溶性,カロチンの油溶性などがある。
 これまでの調理の学習では,栄養に関する内容と調理実習を別々に扱う傾向がみられ,栄養と実習が結び付かないことが多かった。そこで,栄養を考えて調理することの大切さをとらえさせるために,食品の栄養的特性をとらえる実験を位置付けた。しかし,実験で食品の栄養的特性をとらえても,それが必ずしも調理法に対する課題意識に結び付きにくいので,調理実験でとらえた栄養的特性を生かして自分なりの考えで調理する場(調理試行活動)を設定した。それにより,出来上がりの様子や試食の結果から,調理法に対する課題意識を持つことができると考える。その課題を解決する場として調理実習1を位置付けた。また,調理法に関する知識や技能をより定着させるために,材料を変えて調理したり,一人実習の場として調理実習2を位置付けることもできる。

〈食品の栄養的特性に関する実験の位置付け〉
〈食品の栄養的特性に関する実験の位置付け〉


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