平成7年度 研究紀要 Vol.25 個人研究6 -150/170page

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イ 調理実験の教材研究(カロチンについて) 緑黄色野菜に力ロチンが含まれていることをとらえさせる「カロチンの抽出実験」が図1である。ほうれんそうやだいこんの葉などの野菜を使って行うと「緑色の野菜から橙黄色のカロチンが出てきた」ということで児童に強い印象を与えることができる。
 実験の際に,ほうれんそうをろ紙に多量につけると,展開液のキシレンがほうれんそうに吸収され,カロチンが抽出できなくなるので注意する必要がある。また,太い試験管やゴム栓がない場合は,蓋のある透明のガラス瓶でも実験できる。なお,キシレンは揮発性が高く,吸引すると人体に有害であり,引火性も高いので教師実験が望ましい。
 事前に抽出したものを観察させる場合,カロチンは紫外線にさらすと容易に退色するので,保管の際には光を当てないように注意する必要がある。

〈図1 カロチンの抽出実験〉
〈図1 カロチンの抽出実験〉

 「カロチンの油溶性を調べる実験」が図2である。細切りにしたにんじんを水洗いし,水と油で加熱する。加熱後,水と油のゆで汁を比較すると油のゆで汁が橙黄色になっていることから,カロチンが油に溶けやすいことをとらえることができる。児童の調理技能により,切り方はいちょう切りでもよく,皮

〈図2 カロチンの油溶性を調べる実験〉
〈図2 カロチンの油溶性を調べる実験〉

をむかなくとも同様の結果は得られる。また,切ったにんじんを水洗いするのは,切り口についた細かい破片が力ロチンと間違いやすいからである。
  2.食品の調理性に関する調理実験について
 ア 調理実験の位置付け
 食品の調理性に関する実験としては,野菜の放水実験,卵の蛋白質の加熱凝固実験,米の吸水実験などがある。
 調理法に関する課題を解決する場として調理実験を位置付けることにした。まず,調理法に関する課題を持たせるために試食させる。一例として,ふっくら炊き上がったご飯としんの残ったご飯というように,食するのに適したものとやや遭さないものを試食する場を設定する。これにより「なぜ,片方にはしんが残っているのだろう」「作り方が違うのかな」などの調理法に対する課題意識を持つことができると考えた。試食は,食するのにやや適さないものだけでもよいが,適したものを試食させることで,どのような出来上がりが望ましいかをとらえさせることができると考えた。試食で持った課題を解決する場として調理実験,課題解決したことを生かす場として調理実習を位置付けるようにした。

〈食品の調理性に関する実験の位置付け〉
〈食品の調理性に関する実験の位置付け〉

 イ 調理実験の教材研究(じゃがいものゆで方)
 本実験では,じゃがいもが加熱により外側から柔らかくなっていくこと,小さく切ると加熱に要する時間が短いことを視覚に訴えてとらえさせることができる。100g程度の大きさのじゃがいもであれば,1/4に切ってゆでた場合,半分に切って切り口を観


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