平成7年度 研究紀要 Vol.25 個人研究6 -152/170page

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2.第3・4時(油いための調理試行活動)
 前時の調理実験でとらえたことを生かして,自分なりの考えで調理する調理試行活動の場とした。火の通り方の異なる野菜を用いることで,切り方やいためる順序など,調理法への課題を持たせることができた。

〈班ごとの調理試行活動の様子〉
〈班ごとの調理試行活動の様子〉

 その後,調理試行活動での工夫点や問題点について,班ごとに発表した。その中に「にんじんを薄く切ったので短時間で調理できた」「にんじんをゆでてからいためたので短時間でできた」など短時間で調理するための工夫点が出された。しかし,「なぜ,短時間で調理するとよいのか」まではとらえていなかったので,加熱時間が長い程ほうれんそうのビタミンCの減り方が大きいことを示す資料を提示した。
 これにより児童は,短時間加熱の必要性を栄養的視点からとらえることができ,その後の調理実習では,にんじんを薄くいちょう切りにしたり,ゆでてからいためたりと,短時間加熱を意識して調理に取り組むことができた。
  3.第5・6時(自分の好きな野菜の油いため)
 前時に児童から「他の野菜の油いためを作りたい」という願いが出されたので,班ごとに野菜を決めて調理実習に取り組むことにした。「にんじん,にら,.たまねぎ」などというように色どりも工夫して材料を決める姿が見られた。また,前時の学習を踏まえて栄養を生かすという視点から,野菜の切り方,いためる順序を考えて計画を立てることができた。
授業2 「調理の工夫」
  (食品の調理性に関する調理実験)
(1) 題材の目標

 1.じゃがいもと魚や肉の加工品の調理に関心を持ち,学習した調理法を家庭生活に役立てようという意欲を持つことができるようにする。
 2.じゃがいもと魚や肉の加工品を調理目的に合わせて選んだり,切り方や加熱の仕方を工夫したりすることができるようにする。
 3.じゃがいもと魚や肉の加工品を使い,計画を立て手順よく調理することができるようにする。
 4.じゃがいもと魚や肉の加工品の栄養的特性や調理性をとらえることができるようにする。
(2) 授業の計画(総時間 8時間)
ねらい 学習内容・活動 教師のはたらきかけ
○じゃがいも料理に関心を持つとともにじゃがいもの栄養と選び方が分かる。 1.いろいろなじゃがいも料理を試食し、調理法を考える。
2.じゃがいもの栄養と選び方を調べる。
○ゆでてから調理した各種のじゃがいも料理を試食することで,じゃがいものゆで方とその後の調理法への関心を高める。
○芽の出たじゃがいもや栄養に関する資料を提示することで,選び方や栄養をとらえることができるようにする。
○じゃがいものゆで方を調べる実験の計画を立てることができる。 1.2種類の粉ふきいもを試食し、片方に固い部分が残った理由を話し合う。
2.ゆで方を調べる実験方法について話し合う。
○固い部分の残った粉ふきいもと残っていない粉ふきいもを試食することでゆで方の違いに目を向けることができるようにする。
○児童に実験方法を考えさせることで課題意識を持って計画を立てることができるようにする。
○じゃがいもの皮のむき方と芽のとり方が分かる。
○じゃがいものゆで方と固さの関係についてとらえることができる。
○簡単なじゃがいも料理を作ることができる。
1.じゃがいものゆで方を調べる調理実験を行い、ゆで方と固さの関係について話し合う。
2.実験で使ったじゃがいもで簡単な料理を作る。
○児童の考えを生かし、ゆで方に関するいろいろな観点について実験することで意欲的に取り組むことができるようにするとともに、じゃがいもの固さには、大きさ、加熱時間、水の量が関係していることをとらえることができるようにする。
○実験で使ったじゃがいもを使って調理することで、次時の調理計画への見通しを持つことができるようにする。
○ハムを比較する活動を通して、魚や肉の加工品を組み合わせた調理の計画を立てることができる。 1.3種類のハムを比較し、選び方を話し合う。
2.栄養士さんの話を聞き、選び方と利用の仕方をまとめる。
○見た目や味の違うハムを比較することで、品質表示に目を向けるとともに品質表示が選ぶ目安になることをとらえることができるようにする。
○栄養士さんの調理上の工夫を聞くことで、選び方と利用の仕方をとらえることができるようにする。
○調理の仕方や手順を工夫して、じゃがいもと魚や肉の加工品を組み合わせた調理の計画を立てることができる。 1.じゃがいもと魚や肉の加工品を組み合わせた料理を決める。
2.調理の仕方や手順を工夫して、計画を立てる。
○バイキング形式にすることで、みんなに喜んでもらえるオリジナル料理を作ろうという意欲を高める。
○計画を立てる際、調理実験の結果を想起させることで、調理目的に合った切り方や加熱の仕方を工夫できるようにする。
○調理目的に合った調理の仕方を工夫して、じゃがいもと組み合わせた料理を作ることができる。 1.じゃがいもと魚や肉の加工品を組み合わせた料理を作る。

2.バイキング形式で試食し、後片付けをする。
○計画をもとに調理を進めるが、調理している食品の様子を見ながら取り組ませることで、加熱時間や火加減を工夫して調理できるようにする。
○試食の際に、感想メモを交換することにより、自分や友達のよさに気付くとともに、成就感を味わうことができるようにする。

(3) 授業の実際
 1. 第1時(じゃがいもの調理法,選び方と栄養)

 チーズポテトやポテトスープなど,すべてゆでて


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