平成7年度 研究紀要 Vol.25 個人研究7 -164/170page
このMSTBにおいては,前記の記録表に記入された測定値を,評価点換算表に当てはめて得点を算出した。
約三分の二の子どもが記録を伸ばしており,逆に,およそ四分の一は記録を下げている。得点の伸びや下がり方の度合いを見てみると,次のグラフのようになる。
それぞれが最も苦手とする運動属性のMSTBの得点について,事前と事後の変化を見てみると次のようになる。
得点の下がった子どもは,全員が一5点までの中に入っており,下げ幅はあまり大きくはないことがうかがえる。ところが,記録が伸びた子ども達の得点は,5点までが全体の半数であり,6点以上10点以下の伸びを示した子が10%もいる。さらに,11点以上伸びた子もおり,全体的に見ると運動能力は着実に向上していると考えられる。
運動属性ごとに変化の度合いをまとめてみると,次のグラフのようになる。
それぞれの運動属性に取り組んだ人数が違うことを踏まえても,ここに出てきた数値はかなり参考になるだろう。
スピードや敏捷性にいたっては100%の伸びを示している。また,腹筋,動的バランス,柔軟性についても70%近く,もしくはそれ以上の子どもが得点を伸ばしている。腕の筋力だけは,記録を伸ばした子が少ないのだが,どの運動属性においても,得点を伸ばした子がおり,1種目ずつ指定した方法は,一人一人に応じた運動能力の育成に,概ね役立ったものと考えられる。
(2)ムーブメントの種目の有効性について
今回選定した7つのムーブメントが,子どもの運動能力の向上に役立ったかどうかを考察する。
このグラフでは,ほとんどの種目で得点の伸びが見られるが,登りづなでは得点が低下した子の数が目につく。腕の筋力向上のためのムーブメントとして,登りづなが適当だったのか,今後さらに検証を必要とするが,本実践においては,種目よりも,取り組ませ方に原因があったように思われる。次の学習カードの感想でもわかるように,子どもは揺れる