研究紀要第105号 「学力向上に関する調査研究」 -005/175page
3. 考察と対応
主述の理解については,小問1から明らかなように,十分でないことがうかがえる。主述の理解でつまずいている児童は,述語のすぐ前の文節を主語として選ぶ傾向が強い。また,小問3にみられるように,人物を表す言葉が複数ある場合,児童は,どれが主語かを決めかねている様子もみられる。小問6のように主語が擬人化されていて文節数も多くなると正答率はさらに低下している。
述語は,文の全体をまとめて完結させる働きがあり,主語は,述語に対応し「何(だれ)が」を表す。物語文や説明文の授業の中には,文節数の多い文や,擬人化された表現の文などが出てくる。これらの文の述語を中心に,主語一述語を書き抜き,簡潔な文に表す活動を通して文の理解を深めるとともに,主述の働きについて理解させるようにしたい。
「主述の理解」については,以下のような指導が大切と考える。
ア 文節数の少ない文や主述の関係が比較的はっきりしている文を用いて,「主語」「述語」の用語を明らかにし,それぞれの言葉の意味の理解を図る。さらに,文節数の多い文や,主語が人物(生物)以外の多様な文を取り上げ,習熟を図る場を設定する。
イ 作文を書いたり,説明文や物語文の学習で,主語と述語にアンダーラインを引いたり,複雑な文や文章の主語と述語を書き抜いて内容を整理したりすることにより,「主述のはっきりした文は,言いたいことが相手にはっきり伝わること」を児童自身に体験させる場を工夫する。
教科書によっては,「主語」「述語」「修飾語」の言葉が4年,5年で初めて出てくるものもあるので,前学年でどこまで学習しているのかを正確に把握しておくことが大切である。
2 小学校算数 5年
(1) NRTの結果(平成7年調査)
大 領 域 全県通過率(%) 全国比 中 領 域 全県通過率(%) 全国比 1 数と計算 48.8 93 1−1 整数の性質 51.7 96 1−2 数の表し方のしくみ 75.7 98 1−3 小数と分数 38.6 90 1−4 およその大きさを用いること 44.7 87 2 量と測定 37.0 86 2−5 いろいろな図形の面積 42.0 88 2−6 体積の表し方と求め方 35.6 86 2−7 およその大きさと平均 31.0 74 2−8 割合の比べ方と表し方 17.6 75 3 図 形 61.1 97 3−9 平面図形 61.0 96 4 数量関係 40.6 95 4−10 円グラフ・帯グラフと百分率 44.6 106 4−11 数量関係の見方や調べ方 36.7 91 4−12 数量の関係を式で表し,よむこと 37.6 84