研究紀要第105号 「学力向上に関する調査研究」 -012/175page

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小問 解 答 分 類 解答率(%) 分 析
公開(正答) 65.5 小問9,10は同音異義語が書き分けられるかどうかを問う問題で,9が小学校,10が中学校で学習した漢字である。正答率は9が65.5%で,10が5.5%であった。
小問9では正答の「公開」に対し,「同音異義語」(「後悔」等)の誤答が6.1%あった。また,小間10では正答の「既成」に対し,「同音異義語」(「既製」「規制」等)の誤答が8.1%あった。
また,「音だけ合っている字」(「講会」「講開」「構会」等や「機成」等)での誤答が,小問9では3.0%,小問10で は17.7%あった。これらの誤答は,一般的に熟語とは認められないものである。熟語の意味をしっかり把握しないで,音だけをあてているための誤答と考えられる。
なお,小問10は「無解答」が61.5%と特に高かった。
同音異義語 6.1
音だけ合っている字 3.0
その他 7.7
無解答 17.7
10 既成(正答) 5.5
音だけ合っている字 17.7
同音異義語 8.1
字形が不正確 2.4
その他 4.8
無解答 61.5
11 成績(正答) 51.5 小問11,12は,音読みで字形が紛らわしい漢字の書き分けができるかどうかを問う問題で,11が小学校,12が中学校で学習した漢字である。正答率をみると,11が51.5%で,12が11.6%であった。
小問11では正答の「成績」に対し,「成積」(部首の異なる字)という誤答が37.0%あった。また,小問12では正答の「妨害」に対し,「部首の異なる字」の誤答(58.5%)のうち「防害」という誤答が54.9%あり,それ以外の誤答は3.6%である。両問の誤答とも,部首は異なるが字形が似ていて,音が同じ「積」「防」との混同が大きい。
小問12では「害」に同音の「外」をあてるものがみられた。さらに,「無解答」も21.3%と高い値を示している。
部首が異なる字 37.0
字形が不正確 1.2
その他 4.8
無解答 5.5
12 妨害(正答) 11.6
部首が異なる字 58.5
字形が不正確 4.3
その他 4.3
無解答 21.3

3. 考察と対応

漢字の書きについては,次のようなことが明らかになった。

読みに比べ,日常使う漢字についての定着が十分ではない。また,漢字の字形を正確に書けない誤答もあり,「書き」に関しては「読み」に比べて定着度が低い。

同訓異字・同音異義語を持つ漢字や,部首が異なる漢字での誤答が多い。また,熟語の「書き」では,音だけが同じで,意味が無関係な漢字を書いている誤答が目立っている。同音異義語の誤答より,音だけが合っている字をあてた誤答の方が多い場合もあり,漢字の持つ意味がおさえられていない。

正答率の著しく低い漢字については,教科書での取り扱いを調べてみると,「漢字の練習」や


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