研究紀要第105号 「学力向上に関する調査研究」 -019/175page
2. 調査結果の集計及び分析
小 問 解 答 分 類 解答率(%) 分 析 (1) オウエアイ(正答) 87.6 正しく語を並べかえることができた生徒は87.6%であるが,オウ(want to)の部分のみ正解している生徒を加えると93.0%の生徒が「〜したい」と言うときの表現を身に付けていると言える。さらに,“Want to”の次に動詞が来るということも定着している。 オウの部分のみ正解 5.4 その他 7.0 無解答 0 (2) オイアエウ(正答) 51.0 正答率51.0%は,この大問における5つの小問の中で最も低い数値である。間違った生徒49.0%の半数以上が,アエ(better than)の部分はおさえている。
誤答の主なものは,“fall”と“spring”の位置の混乱によるものであった。アエウの部分のみ正解 0.5 アエの部分のみ正解 25.7 その他 22.8 無解答 0 (3) ウアイオエ(正答) 70.7 ウア(give you)の部分だけ正しく並べることができた生徒は13.9%である。一方,イオエ(an interesting book)すなわち,「冠詞+形容詞+名詞」のみを正しく並べることができた生徒は3.5%であった。 ウアの部分のみ正解 13.9 イオエの部分のみ正解 3.5 その他 11.9 無解答 0 (4) エオウアイ(正答) 65.8 正答を得られなかった生徒34.2%のうち,ウアイ(by the window)だけ合っている生徒と, エオ(two chairs)だけ合っている生徒を合わせると19.3%になる。誤答の主な原因は,
There are[A]by[B].の文におけると[A]と[B]の位置の混乱によるものであった。エオの部分のみ正解 13.9 ウアイの部分のみ正解 5.4 その他 14.4 無解答 0.5 (5) エウイアオ(正答) 65.8 「冠詞+形容詞十名詞」の語順のみは合っている生徒が,小問(3)では3.5%であるのに対して,この小間では13.4%いる。同じ要素でも,冠詞の形や形容詞の長さの違いで定着率が違うことがわかる。また,イアオのみ合っている生徒のほとんどが,残りの“to buy”の順序を逆にしている。この間違いは,小問(1)の“want to”においてはみられなかった。 イアオの部分のみ正解 13.4 エウの部分のみ正解 6.9 その他 13.4 無解答 0.5 3. 考察と対応
日本語と語順の違うものは生徒にとって難しいが,ここで扱っている大問における文型は理解レベルでとどめておいていいものではなく,全て表現レベルまで高めなければならないものである。この大問のように正しい語順に並べかえる問題においては,全部はできてはいないが部分的には合っているところが各小問共通に見られる。(1)では“want to”,(2)では“better than”,(3)では“give you”などがそれにあたる。部分的な理解を全体まで浸透させるためには,次のような指導が必要である。
ア Acoustic image(音のイメージ)をつくる
文型は単語を1語1語理解させるよりも,意味のある「ひとかたまり」として覚えさせるとともに,文の中での定着を図る必要がある。クラスルーム・イングリッシュやオーラル・イントロダクションなどを通して,普段から英語を繰り返し聞かせたり,使わせたりすることにより,生徒の頑の中に,音声と意味が結合した acoustic imageをつくることが大切である。