研究紀要第107号 「基礎学力向上のための情意面の活性化」 -033/175page
ては科学的な思考に焦点を当てた。
4 科学的思考のとらえ方
科学的思考は一般に下表の右側の1.〜19.のようにとらえられる。 注2) これらは科学的思考の要素ともいうべきもので,科学的思考力を評価するときの項目としてよくあげられる。左側のI〜IVは児童・生徒が,ある事象を理解しようとするときの認識の段階という視点からのとらえ方である。中央の線は両者のかかわり合いを示す。
本研究では,思考を,当面の課題を解決し,事象への理解を深めるための活動であると考え,科学的思考の内容を,I〜IVのように,事象認識の段階という視点から大きくとらえた。
事象認識の各段階で働く思考の内容は次表のようなものである。
I 事実関係 をつかむ。 集中して考える。具体的事象を数多く見つけて比較し,共通点や差異点を見いだす。 II 相互関係 をつかむ。 事象を条件とのかかわりで考える。事象の起こる条件から変化の要因をとらえる。 III 因果関係 をつかむ。 分析的に考える。事象の起こる要因や,量的変化,時間的変化の規則性をとらえる。 IV 総合関係 をつかむ。 事象と事象の相互関係や規則性を総合的に考える。 IV 授業実践の内容
1 実践の分担
授業での児童・生徒の学習活動を,事象との出会いから課題解決までの流れとしてとらえ,その学習の過程に応じで情意面を活性化する方策を,次図のA〜Dのように分類した。