研究紀要第107号 「基礎学力向上のための情意面の活性化」 -034/175page
各教科で行った情意面を活性化する具体的方策は下表の通りである。
実践 対象校・教科 情意面を活性化する具体的方策 1 小学校理科 A 試行活動からの課題づくり D フィードバックできる自己評価 2 中学校理科 BD 思考活動を促す教材の製作と活用 3 中学校技術・ 家庭 B 関心を持続させる題材の選定 B 生徒の学習状況を知る三角パネル CD 思考時間を確保するプリント学習 4 高等学校理科(化学) BD 定着度別の班編成 CD 思考活動を活発にするワークシート 5 高等学校理科(生物) AB 発問の工夫と「声かけ」の継続 CD グループ学習 CD 思考する場と時間の確保 2 共通に行う調査とその処理
(1) 調査1「支援要求傾向」
児童・生徒が学習するとき,下表に示すような10項目の目標達成に向けて,教師に対して援助を求める傾向を自己評価によって把握するための調査である。評価は 4〜1 の4段階で行い,結果を数量化した。下に示すのは,高等学校で用いた調査用紙である。小・中学校の場合も同じねらいで,児童・生徒に理解できるような表現にして調査した。
段階 内 容 4 いつも援助を必要とする。 3 ときどき援助を必要とする。 2 あまり援助を必要としない。 1 援助を必要としない。
目 標 項 目 1 私は,(先生の説明を聞いて)学習のめあて(課題・目的)をつかむことができる。 2 私は,計画的に学習や観察・実験を進めることができる。 3 私は,学習内容について,どこがわかって,どこがわからないかをつかむことができる。 4 私は,わからないことがあったとき,それを解決しようと努力することができる。 5 私は,先生に質問することができる。 6 私は,どのくらいできるようになったかをつかむことができる。 7 私は,自分の考えをまとめたり,発表したりすることができる。 8 私は,自分にあった(効率的な)学習の方法を知ることができる。 9 私はできるようになるまで(他人に頼らず),自分の力で最後まで学習することができる。 10 私は新たな疑問を解決したり,困難なことにも挑戦したりしようと努力することができる。 (2) 調査2「関心,意欲の程度,理解の程度」(授業前,授業後)
児童・生徒の学習への取り組み状況を授業の前後で調べた。下に示すのは, 実践1 で授業の後に行った調査の内容である。項目の1〜4で関心の程度,5〜8で意欲の程度を,9〜12では学習内容についての理解の程度を,それぞれ 5〜1 の5段階の自己評価で調べ数量化した。項目9〜12は,各実践での学習内容に応じてそれぞれ作成した。
〈関心〉
項 目 1 「なぜ,どうして」と思うことがあった。 2 考えてみようと思うことがあった。 3 調べてみよう(探してみよう)と思うことがあった。 4 やってみたいと思うことがあった。 〈意欲〉
5 「なぜ,どうして」と思うことを解決しようとした。 6 自分から進んで考えた。 7 自分から進んで調べた(探した)。 8 自分から進んでやった。 〈理解〉
9 ホウ酸は,水の温度を上げると多くとけることがわかった。 10 食塩は,水の温度を上げてもとける量はあまり変わらないことがわかった。 11 水の温度によって,ホウ酸と食塩のとける量には違いがあることがわかった。 12 水の温度ととける量の関係が,ものによって違うことがわかった。