研究紀要第107号 「基礎学力向上のための情意面の活性化」 -036/175page

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V 各教科における実践

実践1 [ 小学校 理科 ]

1 対象・単元・期間

 ○対象 5年1組 男子17名 女子15名 計32名

 ○単元 「もののとけかた」

 ○期間 平成8年12月〜平成9年1月

2 情意面を活性化する具体的方策の実践

調査1で教師に対して支援要求の高かった項目1(学習のめあてをつかむことができる)と項目8(自分なりに解決方法を考えることができる)に配慮し次のような方策を講じた。

(1) 試行活動からの課題づくり

単元導入時の事象提示を演示実験で行い,そこでの試行活動で生じた疑問から課題を見つけさせるようにした。さらにその課題解決のために,児童の小さな疑問を大切にしながら授業を進めるようにした。

(2) フィードバックできる自己評価

授業に取り組んだ自分の気持ちを,満足感,思考,知識という3点から授業の終わりに自己評価させ,その結果を自分のカードにグラフ化して表し,フィードバックできるようにしながら,学習が進められるようにした。図は,「自分から進んで考えましたか」という項目についての,ある児童の自己評価の変容を示すグラフである。

自己評価の変容を示すグラフ

3 結果と考察

方策(1),(2)の効果をみるために次のような4項目について 5〜1 の5段階で自己評価させた。

項 目
単元の最初に先生のえんじ実験を見て,自分もやってみたいと思った。
単元の最初に課題づくりを行ったので,学習のめあてがつかみやすくなった。
授業の進み方が自分の考えに合っていたので,自分なりに解決しようという気持ちになった。
自己評価カードをつけたので,次はがんばろうと思った。

(1) 試行活動からの課題づくりの効果

図は単元導入時に行った演示実験に対する児童の評価(項目1)と関心,意欲(調査2の項目1〜8の平均)の関係を表すグラフである。これから,学習の始めに実験を試行させたことが関心,意欲を高めることに効果があったことがわかる。

演示実験の評価と関心,意欲の関係
演示実験の評価と関心,意欲の関係

下の図は,課題解決のために小さな疑問を取り上げ,一つ一つ解決していくという授業の進め方に対する児童の評価(項目3)と思考についての自己評価(この場合調査2の項目6と,項目9〜12の平均をとった)との関係である。授業の進め方を肯定的に受け止めている児童ほどよく考えていることがわかる。

授業の進め方の評価と思考の関係

授業の進め方の評価と思考の関係


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