研究紀要第107号 「基礎学力向上のための情意面の活性化」 -038/175page
この装置は,回転棒を回すとその回転が発泡スチロール球(月)に伝わり,発泡スチロール球の白い面(太陽の光が当たっている面)がいつでも太陽の方向を向くように作られている。紙の円筒を通して月を見ながら回転させていくと,満ち欠けが連続的に起こるように見えるので,月の満ち欠けの状態とそのときの,月,太陽,地球の位置関係がこの装置から実感として理解できる。
2. 季節や時刻による星座の移り変わりがわかる教材
この装置は,季節(何月)と時刻(何時)を表示窓に設定すると,そのとき南の方角に見えるおもな星座が示されるように工夫されている。この教材を作る過程で,その原理を考えさせることによって,地球の公転による星の年間の運動を理解させることができる。
3 結果と考察
(1) 「地球と太陽系」の学習についての自己評価,及びアンケートの結果(5段階評価の平均)
授業の前後で,関心,意欲が高まり,学習目標に対する理解度も高まった。また,天体の運動に関するモデル教材は学習に役立ち,また,それらを使った授業はおもしろかったと生徒は答えている。
(2) 関心,意欲とテスト成績との関係
次の図は,生徒の関心,意欲(調査2の項目1〜8の平均)と期末テスト成績との関係を示したものである。両者の間にはやや相関が見られた。(相関係数0.32)
4 まとめ
(1) 教材を自分たちで作り,それを使って学習を進めることによって,学習に対する関心,意欲が持続し,思考活動を活発にすることができた。
(2) モデル教材を使うことにより天体事象がイメージでき,その原理を考えさせることから地球,太陽,月の位置関係,及びそれら天体の動きの相互関係をとらえさせるのに役立った。