研究紀要第107号 「基礎学力向上のための情意面の活性化」 -039/175page

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実践3 [ 中学校 技術・家庭 ]

1 対象・単元・期間

 ○対象 3年2組 男子20名 女子20名 計40名

 ○単元 「プログラムの作成」

 ○期間 平成8年11月〜12月

2 プログラミング学習における思考のとらえ方

中学校技術・家庭「情報基礎」における「プログラムの作成」の目標はプログラムの機能を知り(知識・理解),簡単なプログラムの作成ができる(技能)ことであるが,これらの目標を達成する学習の過程では,思考が働くものと考える。本実践では,この思考を次のような3段階に分けてとらえた。

(1) 第1段階(事実をとらえるときに働く思考)

図形をえがくことができる基本命令語を1つ1つ確実に理解し,コンピュータでそれらを個々に使えるようになる段階

(2) 第2段階(相互関係をとらえるときに働く思考)

基本命令語を組み合わせて,単純でも意味のある図形のプログラムが作成できるようになる段階

(3) 第3段階(総合的にとらえるときに働く思考)

蓄積した基本プログラムを組み合わせることによって,複雑な図形をえがく応用プログラムが作成できるようになる段階

3 情意面を活性化する具体的方策の実践

調査1で支援要求の高かった項目5(先生に質問することができる)と項目6(どのくらいできるようになったかをつかむことができる)に配慮して,次のような方策を考えた。

(1) 関心を持続させる題材の選定

プログラミングの題材として,日常生活とかかわりの深い,信号機を点滅させるプログラムを選んだ。はじめに,画面に表示された信号機を点滅させるプログラムを,次に,画面と同時に信号機の模型を点滅させるプログラムを作成させた。

(2) 生徒の学習状況を知る三角パネル

「先生,順調だよ」,「先生,少し困った」,「先生,助けて!」の3段階に分けて表示できる三角パネルを作り,それを使うことによって生徒が気軽に質問できるようにした。教師はそれを的確に把握し,学習につまづいている生徒に対しすぐに支援することができる。

「先生,助けて!」に応えているところ
「先生,助けて!」に応えているところ

(3) 思考時間を確保するプリント学習

自分のペースで考えながらプログラミングの学習を進めることができるように,学習の流れがわかる内容のプリントを各段階ごとに作り活用した。

以下は,第1段階の学習で,信号機の信号の形をえがくために必要な,円をかく命令を学習させる流れである。

○ 円をかいてみよう!
○ 図形の色を指定しよう!
○ 図形をえがく場所や大きさを指定しよう!

(プリントにかいてある命令を実行することで,円をかくことができることを理解させる。次に,命令の一部を変更することにより,円の色,場所,大きさが変わることを理解させる。)

 ↓

        
○ いろいろな図形をえがいてみよう!
 黄色の円をかく例

(プリントにかいてある円の命令が何かを考えさせる。そして,実際に命令を実行し確認することで,いろいろな図形をえがくための知識,技能を獲得させる。)

 ↓

○ 自分で図形をえがき,そのグラフィック命令をかこう!

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