研究紀要第107号 「基礎学力向上のための情意面の活性化」 -041/175page
2. プリント学習に対する生徒の評価と事後テスト成績との関係
1.,2.とも,それぞれかなりの相関が見られた。プリント学習により思考の時間を確保し,自分のペースで学習を進めることで,生徒の学習に対する関心,意欲が持続し,それが事後テストの成績にも反映していることがわかった。
(4) 関心,意欲と思考の関係
このプリント学習で生徒がどのくらい考えたか,その思考の程度を,プリント学習の効果についての自己評価項目(2)の結果でとらえ,これを関心,意欲との関係でみたのが次のグラフである。
両者の間に相関がみられた。このことから,思考活動を活発にするためには,関心,意欲を持続させることが大切であることがわかった。
(5) 思考と事後テスト成績との関係
思考の程度(プリント学習の効果についての自己評価項目(2))と事後テスト成績との間には相関がみられた。よく考えた生徒ほど,知識・理解の定着もよかったとみることができる。
(6) 成績群別にみた意欲の変容
各段階の学習を終わった時点で,意欲の傾向(調査2の項目5〜8の平均)を調べ,その変容を成績群別にみたのが次のグラフである。成績群は,授業実践前の期末テスト成績を基に各群20%を抽出した。
意欲の変容(成績群別)
上位群,中位群では意欲が持続し,下位群では段階を追って意欲が高まっていることがわかった。このことから,実践した方策(1)〜(3)は成績上・中位群の生徒,成績下位群の生徒それぞれに効果的に働いたことがわかった。
6 まとめ
(1) 生徒の学習状況や気持ちを的確に判断し,学習につまづいている生徒を支援してやることによって,生徒に安心感を与えることができた。また,生徒が安心して学習を進めることで,学習に対する関心,意欲を持続させることができた。
(2) プリントを使って課題を明確にし,思考する時間を確保したことは,学習に対する関心・意欲を持続させ,思考を促す効果があった。また,それが知識・理解,技能の獲得にもつながった。
(3) 情意面を活性化する方策(1)〜(3)は,成績が上位・中位群の生徒にはもとより,下位群の生徒にも有効であった。