研究紀要第107号 「基礎学力向上のための情意面の活性化」 -043/175page
どちらの場合も相関がみられ,ワークシートの活用に対する評価の高い生徒はど,関心意欲が高く,また,よく考えて活動しているという傾向があることがわかった。さらに,この傾向は,上位・中位・下位という定着度の違いにはあまり関係しないこともわかった。
(3) 関心,意欲とテスト成績との関係
全体として相関はみられなかった。事後テストの平均点は,全体で46.7,上位群68.1,中位群40.2,下位群39.6で,下位群の成績が中位群の成績とほぼ同じであった。関心,意欲を高める方策が,中位群よりは下位群の生徒の方に効果があったと思われる。
(4) 思考活動とテスト成績との関係
上位群については相関がみられるが,全体としては相関がみられなかった。下位群では思考活動の評価が高い割りには事後テスト成績が低かった。知識・理解につながる思考活動を促す必要がある。
(5) 生徒及び授業担当教師の感想
<生徒>
<授業担当教師>
日頃受動的な生徒にとっては大変な授業ではあったが,一つ一つに対して考える必要があるため,考えようとする習慣が身に付いてきた。 4 まとめ
(1) 中学校の学習内容の定着度に応じた班別学習をすることによって,生徒の中に学習しやすい雰囲気ができ,教師の支援も効果的に行えた。
(2) ワークシートの活用は,関心,意欲を持続させること,思考活動を活発にすることに効果的があった。
(3) 情意面を活性化する方策の実践により,関心,意欲を持続させ,思考活動を活発にすることができたが,十分な知識・理解の獲得までには至らなかった。特に,中位・下位の生徒に対しては,課題解決につながるような思考を継続させていく必要がある。