研究紀要第107号 「基礎学力向上のための情意面の活性化」 -044/175page

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実践5 [ 高等学校 理科 (生物IB) ]

1 対象・単元・期間

 ○対象1年8組 男子26名 女子14名 計40名

 ○単元「遺伝と変異(独立の法則,連鎖・組換え)」

 ○期間 平成8年10月〜12月

2 情意面を活性化する具体的方策の実践

(1) 発問の工夫と「声かけ」の継続

 ・成績の上・中・下位群,それぞれに応じて,発問やヒントの与え方などを工夫した。

 ・教師に対する支援要求の高い生徒には特に「声かけ」を継続して行った。

(2) グループ学習

班をつくり,その中で課題解決に向けて討論し,考えを練り上げ,班としての結論をまとめ,発表させた。また,他の班の発表を聞くことで理解を深めるとともに,発表の仕方の参考にさせた。

(3) 思考する場と時間の確保

各授業時間内に思考する場面を設定し,さらに,課題解決のために考える時間を確保した。

3 結果と考察

(1) 関心,意欲とテスト成績との関係

関心,意欲(調査2の項目1〜8の平均)と事後テスト成績との関係は次図のようになった。関心意欲,テスト成績とも全体に高かった。

関心,意欲と事後テストの関係
関心,意欲と事後テストの関係

次の図は,一意欲(調査2の5〜8の平均)の変容とテスト成績点の伸びとの関係を,成績群別に表したものである。意欲の評価が上位群で下がっているのは,上位群は意欲がもともと高いためである。このことから,中・下位群の生徒には学習意欲を高める方策を,上位群の生徒には新たな課題を与えるなどの方策を講じることが必要であることがわかった。

意欲の変容とテスト成績の伸びの関係
意欲の変容とテスト成績の伸びの関係

(2) 情意面を活性化させる方策と科学的思考の関係

次の図は,「連鎖・組換え」の学習で理解させたい事象を,事実関係,相互関係,因果関係,総合関係という視点で分け,それぞれの関係をつかむ上で方策(1)〜(3)がどのように効果的であったかを,生徒の5段階の自己評価によって調べたものである。

事象認識の段階
事象認識の段階

生徒は,三つの方策とも効果的だったととらえているが,中でも,事象の因果関係や,諸事象を総合的にとらえる学習では思考の場や時間が設定されていることが,より効果的だったと答えている。

(3) 支援要求傾向の変容

図は,クラス全員の支援要求傾向の項目ごとの平均値を,事前と事後に分けて示したものである。

項目ごとの支援要求傾向の変容
項目ごとの支援要求傾向の変容


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