平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -134/175page

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〈発展学習を支援するマルチメディア教材の開発〉

中学校国語
福島県版奥の細道ガイド
西 牧 伸 弘

1 開発の意図

中学校国語における古典学習の指導のねらいを見ると,「古典を理解する基礎を養い 古典に親しむ態度を育成する こと,さらに 我が国の文化や伝統について関心を深める ようにすること」となっており,「関心・意欲・態度」といった学力の育成にその重点が置かれている。しかし,実際には,古語や古典文法の理解が中心になったり,音読を過度に重視するあまりに暗唱中心になったりして生徒の興味・関心や学習意欲を失わせるような指導が少なくない。

一方,課題解決型の調べ学習を取り入れ,主体的に学習に取り組ませようとする試みもあるが,課題を解決するための十分な資料が学校の図書館になかったり,課題自体に問題があり,学習自体が古典の学習のねらいから逸脱してしまう場合も見られる。課題解決型の学習を展開するにはそのためのテキストや資料の整備が強く求められる。

そこで,このような古典指導で抱えている課題を解決し,古典の学習指導のねらいを達成するための教育ソフトの開発研究を行うこととした。なお,開発ソフトの内容を「奥の細道」の福島県の部分とした理由は次の通りである。

1. 「奥の細道」は3年の古典の学習で教材として取り上げられている。また,他の古典作品との関連が深く,発展的な学習にも適し,中学校で古典の学習のまとめを行うことのできる教材である。

2. 本県は「奥の細道」のコースに入り,作品への親しみもある。そこで本県の部分に対しても生徒の興味・関心が高いことが予想される。

3. 学習を通し,芭蕉が訪れた旧跡や名所に関係する古典を再認識することができる。そのため,古典が一層身近なものと感じられるとともに,郷土の文化や伝統に対する関心の高まりが期待できる。

2 開発の構想

(1)内容

 本文及び口語訳・語句の意味・注・朗読・写真等を提示するデータベース部と,クイズ部の2部構成とする。

(2)マルチメディアの活用

 マルチメディアの活用を古典の学習に当てはめたとき,次の点で特に有効であると考えられる。

 1. 「有職故実」等の参考資料を提示する際に, 絵や写真等の画像資料 が本文の理解を助ける。

 2. 音読は古典を理解する基礎を養ううえで重要なものであり,優れた 朗読を音声資料 として提示することは,音読のための模範となる。

(3)操作性

 授業での活用に支障をきたさないようにするため,操作はマウスのみ使用とし,簡単なものにする。

(4)開発方法

 開発にあたり,開発をSEに委託するほか,協力員を置き,以下の内容で開発に参画する。

・構 想 開発ソフトの構想について意見を出す。
・設 計 基本設計の段階で,構成・レイアウト・内容等について検討する。
・開 発 画像や音声資料の作成と編集を行う。
・評 価 SEが制作した試行版を試行し,内容をチェックし,修正点をあげる。
授業での効果的な活用法を探る。

3 ソフトウェアの概要

 (1)ソフトウェアの構成

(1)ソフトウェアの構成


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