平成8年度 研究紀要 Vol.26 個人研究 -133/175page

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察に出かける際の参考となるようにした。

前頁の【画面7】において「穴原」を選ぶと,穴原で見られる地層を観察することができる。地層画面は,基本的には全体から細部へと進んでいくような構成になっており,【画面8】は「穴原」の地層に最接近した画面である。ここでは,地層の重なりや表面の様子,さらには各層を形作っている構成物などをとらえることができると思われる。

【画面8:地層画面(最接近)】
【画面8:地層画面(最接近)】

さらに,【画面8】の画面上には<この辺をさわってみよう>というボタンを準備しておき,実際にその地層に手で触れている様子を映像として表示するようにした。これは,映像を通して,地層の表面の様子や各層の堅さ,さらには各層を構成している物(れき・砂・粘土など)は何かなど,地層の細部にわたって一層とらえやすくしたいと考えたからである。

画面に映し出された手が,地層の表面にさわったり,地層から石を取り出して割ったりする様子を見た子供たちは,「おもしろそうだ」,「自分もさわってみたい」という地層に対する興味・関心を持ってくれるのではないだろうか。そしてそこから,「地層を調べてみたい」,「地層を探しに行こう」という直接体験への意欲が高まっていくのではないかと考える。

4 ソフトウエアの活用

第6学年の地層の学習単元は,主に第2学期に配当されていることが多く,完成した本開発ソフトは実際の授業の中でまだ活用されていない。今後少しでも多くの学校で活用され,各学校周辺で見られる地層を新たに加えていくことによって,本開発ソフトを充実・発展させていただければと思っている。

5 まとめ

(1)成果

 ○ 子供たちの直接体験への関心・意欲を引き出すようなソフトウェアにするために,開発ソフトの具備すべき要件を次のように考えた。

 ・子供たちが画面を見て感じたことを大切にするために,画面内に解説等は入れずに事実のみを提示する。

 ・子供たちが調べてきた地層を,自分たちで記録できるようにする。また,それを本ソフトウェアに収められた地層と比べられるようにする。

 ・授業で活用しやすくするために,できればデータはCD−ROMに焼き付ける。

 これらは,本開発ソフトの大きな柱となったものであり,今後のマルチメディア教材を開発していく際の,一つの方向性を示すものとなったと考える。

 ○ 協力員の所属校において,諸先生方から「身近にある地層というのがいい」,「地図が載っているのがいい」,「ぜひ子供たちに見せたいね」というような感想をいただけたことは,授業での活用への大きな足がかりとなった。

(2)課題

 ○ 各協力員等から,本開発ソフトへの要望をたくさんいただいた。これらをもとにして,子供たちの直接体験への関心・意欲をより高めるように改善していくとともに,実際の授業での活用を通しながらその有効性について考察していく必要がある。

《 参考文献等 》

・鈴木敬治監修 福島県地学のガイト小編集委員会編
 「地学のガイドシリーズ16福島県地学のガイド」
コロナ社(1984)
・国土地理院
 「1:200,000地勢図(福島,白河,日光,新潟)」
国土地理院(1994,1995,1991,1996)
・平成6年度ソニー中央特別研修会資料

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