平成9年度 研究紀要 Vol.27 -000-01/166page
まえがき
平成8年7月19日に,「21世紀を展望した我が国の教育の在り方」(第15期中央教育審議会答申)が発表され,「生きるカ」や「ゆとり」といった言葉で,これからの教育の方向が示されました。
こうした中で,本教育センターにおいては,「研究課題」を「『生きるカ』としての『学カ』を育てる学校教育の創造」とし,サブテーマに〜小・中・高における授業の改造〜を掲げ,全所内体制で研究に取り組んで参りました。
これは,「授業の改造」によって「『生きるカ』としての『学カ』をどう育てるか」という研究であり,「『生きるカ』としての『学カ』」を育てる学校教育の在り方を提言していこうとするものであります。 研究の推進に当たっては,「教師の改造」「教材の改造」「学級の改造」「授業の改造」という4つの視点を設けるとともに,その視点ごとに,より具体的な「研究主題」を設定しました。
その1つは,「学校の活性化を目指す教員研修」で,これは聞き取り調査や意識調査をもとに,校内研修の現状と問題点を探り,教員の資質や能カの向上を図る望ましい教員研修の在り方を提言していこうとするものです。
2つ目は,「平成9年度学カ到達度調査研究」で,これは平成7年度と平成9年度の学カ到達度調査結果の比較をもとに,「学カ」の実態と問題点を探り,学方を育むための指導事例を探ろうとするものです。
3つ目は,「基礎学方向上のための授業改善に関する実践的研究」で,「事象(教材)提示の工夫」や「表現活用や体験活動の導入」などにより,思考活動を活発にする方策を探り,授業改善のための授業実践事例を提示しようとするものです。
4つ目は,「情報ネットワークの教育的活用と授業改善へ向けた教育用ソフトウェアの活用」で,「生きるカ」の育成と情報教育との関連を探りながら,情報ネットワークを授業改善に結びつけるための方途や「生きるカ」の育成を支援する進路の学習のためのコンピュータ活用の在り方を提案しようとするものです。
5つ目は,「豊かな人間関係を育む指導援助に関する研究」で,「生きるカ」としての「学カ」を「自己実現・自己改革できるカ」ととらえ,人間関係をつくる力に着目し,児童生徒に「人間関係をつくるカ」を育てるための指導援助の在り方を追究していこうとするものです。
個人研究については,教員研修,特に校内研修の改善に関する研究や高校生の画面構成感覚に関する研究,よりよい人間関係を育む体育の指導援助に関する研究,不登校の子どもの訴えに応える学校・家庭のかかわり方に関する研究など,実践的な研究を進めて参りました。
本紀要を,各学校での研修・研究の推進に活用していただければ幸甚です。
おわりに,本教育センターの調査研究に際し,ご尽方を賜りました研究協カ校や研究協カ員の皆様,並びに関係諸機関の方々に対しまして,衷心より感謝を申し上げる次第です。
平成10年3月
福島県教育センター所長 水 野 信