研究紀要第111号 「福島県の児童生徒の学力の到達状況に関する研究」 -047/166page
(3)「中領域」別に見た通過率と全国比
1)今回の調査では,「1-1 文字式の四則計 算」は全国平均を上回っているが,他のすべての中領域が全国平均を下回っている。
2)前回と比べると,9つの中領域のうち6領域 で全国北が上昇している。特に,「3-9 資料を集め整理し傾向を知ること」は,10ポイント上昇している。
(4) 授業改善に向けて
中学校数学は,小学校からの学習内容を発展させ,演繹を中心に論理が体系化していく高等学校数学への橋渡しとなる段階である。中学生は,―般的には論理的・抽象的思考が発達してくる段階にあるが,この発達に加えて到達度の個人差が大きくなってくる時期でもある。中学校においては,生徒―人―人の個人差をとらえ,数学の世界をより具体性のあるものと関連させたり,より発展的に考えさせたりするなど,―人―人の学びに応じた,きめ細かな指導が必要である。
そこで,ここでは中領域の「1次関数」から,全国比が低い小問を例にとり,考察し,その領域に関する指導の要点を述べる。