研究紀要第111号 「福島県の児童生徒の学力の到達状況に関する研究」 -054/166page
IIIまとめ
1 成果
(1) 本県の児童生徒の学カの到達状況が明らか になった。([表1]参照)
1)今回調査したすべての教科において,全国 地平均が上昇し,学カが向上しているものと考えられる。
2)小学校5年は,中学校2年に比べ,上昇率 が大きかった。
3)前回の調査では,どの教科も全国平均の水 準より低かったが,今回の調査では,小学校5年国語が全国平均の水準に達した。
また,小学校5年算数,中学校2年英語は,全国水準に比較的近い。しかし 中学校2年国語,数学は,全国平均の水準となお隔たりがある。
(2)成績分布の特徴や推移について明らかにな った。各教科の成績分布の主な特徴は,次のとおりである。
○小学校5年
国語:前回より4,5段階が増加し,中位 から中位の上の層に厚みがある。
算数:前回より上位層へ移行しているが, 正規分布と比べ2段階が多く4段階が 少ない。
○中学校2年
国語:前回と大きな変化はなく,正規分布 と比べ2段階が多く,4,5段階が少 ない。
数学:前回より2の段階は少なくなったも のの,依然として下位層に厚い分布で ある。
英語:前回と大きな変化はなく,正規分布 と比べ3段階が少ないが,その分を2, 4段階が分け合っている。
(3)前回調査と併せてみることで,各教科ごと に,本県の学カ到達状況の課題が,より具体的に把握できた。その課題の解決のため,「授業改善に向けて」として,指導例を提示することがで
[表1]大領域項目における全国平均
学年・教科 平成7年度 平成9年度 差 小学校
5年国語 97.5 100.0 +2.5 算数 92.5 96.5 +3.7 中学校
2年国語 91.3 91.8 +0.5 数学 89.0 91.0 +2.0 英語 95.0 95.3 +0.3 きた。
2 今後の課題
(1)今回の提案をベースに,教科指導の改善, 授業改善について,実践的に研究を発展させていく必要がある。
(2)今回の調査で対象外となった教科の学カ到 達状況やペーパーテストで測定するにはなじまない学カの要素等についての研究は,また別の機会に検討する必要があろう。