研究紀要第112号 「基礎学力向上のための授業改善に関する研究」 -055/166page

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基礎学力向上のための授業改善に関する実践的研究

ー思考活動を活発にする支援について

科学技術教育部

研究の要旨

基礎学カの向上を図る学習指導では,学習に対する関心や意欲を持続させながら,思考力や判断カ,表現方を働かせる過程を経て,児童生徒が自ら進んで知識・理解,技能を獲得できるように授業を進めていくことが大切である。

本研究は,児童生徒の思考活動を活発にする方策を授業に盛り込み,自ら進んで考えたり,工夫したりして課題を解決していく活動をとおして,知識・理解,技能を確かなものとすることをねらいとして,理科と技術・家庭で実践を行ったものである。

実践の結果,次のようなことがわかった。

1)考えようとする意欲は導入時における事象や教材の提示の仕方と大変かかわりが深い。

2)書く,話す,作るなどの自己表現活動や体験的活動を取り入れると思考活動が活発になる。

3)思考活動を活発にするためには,個人差に応じた支援が必要である。

4)児童生徒がゆとりをもって考えることができるように配慮する必要がある。

5)児童生徒の思考活動を活発にすることは,知識・理解,技能の獲得に効果がある。

I 研究の趣旨

これからの学校教育では「生きるカ」の育成を基本とし,知識を一方的に教え込む教育から,子供たちが自ら学び,自ら考える教育への転換をめざすことが必要である。

自ら学び,自ら考えるとは,自分で課題を見つけ,体験や学んで得た知識をもとに自分から進んで考え,判断しながら課題の解決を目指していくという積極的な活動である。「自ら考えるカ」は,授業の中で,自分から進んで考えて問題を解決するという活動を数多く体験することによって養われていくものと考える。

本研究は,児童生徒の思考活動を活発にする方策を授業に盛り込み,自ら進んで考えたり,工夫したりして課題を解決していく活動を行うことによって知識・理解,技能を確かなものとすることをねらいとした実践研究である。実践は,小・中,高等学校の理科と中学校の技術・家庭で行った。

II 研究の基本となる考え方

1 基礎学カの向上

学カとは,児童生徒―人―人が将来,社会において,自ら考え自ら学び,社会の変化に主体的に対応していくのに必要となる,「関心・意欲・態度」「思、考・判断」「技能・表現」「知識,理解」などの資質や能カと大きくとらえることができる。学校では,これらの資質や能カの基礎を培うことになる。

したがって,基礎学カの向上を図る学習指導では,学習内容についての関心や学習に対する意欲を高め,それらを持続させながら,思考カや判断カ,表現方を働かせる過程を経て,児童生徒が,その後の学習の中で活用し得る知識・理解,技能を自分から進んで獲得できるように授業を進めていくことが大切である。


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