研究紀要第112号 「基礎学力向上のための授業改善に関する研究」 -066/166page

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(2)<下位目標行動と思考活動との関係>

事後に,下位目標行動を調査し,事前の調査と比較したところ,図7のようになった。

図7 下位目標行動の変容
図7 下位目標行動の変容のグラフ

「かく」「話す」行動を促す支援を行うことにより,「友達と討論する」「図やグラフをかく」という行動がより活発になっていることがわかった。

また,事後に,「思考活動の程度」を調査し,事前の調査と比較したところ,図8のようになった。

図8 思考活動の変容

図8 思考活動の変容のグラフ

どの項目も事後の評価が高く,思考活動が活発になったことがわかった。

さらに「下位目標行動の程度」の変容(事前調査と事後調査の個人平均の差)と「思考活動の程度」の変容(事前調査と事後調査の個人平均の差)との関係を調べたところ図9のようになり,かなりの相関(相関係数0.57)がみられ,下位目標行動が活発になれば思考活動も活発になることがわかった。

図9 下位目標行動と思考活動との相関図
図9 下位目標行動と思考活動との相関図のグラフ

思考活動と事後テスト成績との関係(図10)

事後テストの平均点は7.4点、(10問10点満点)と高く,「思考活動の程度」と「事後テスト成績」との間にはかなりの相関(相関係数0.47)がみられた。このため,思考活動が活発な生徒はテスト成績もよい傾向にあることがわかった。

図10 思考活動と事後テストとの相関図

図10 思考活動と事後テストとの相関図のグラフ

4 まとめ

(1)直接体験が困難な自然事象の学習では,モデル 教材を活用することが有効である。

(2)思考活動を活発にするには,その下位目標行動 を活発化させることが必要である。特に,「討論 する」「メモする」「図やグラフをかく」などの表 現を伴う行動を促すことは効果がある。

(3)思考活動が活発になると,基礎的・基本的な内 容の理解が確かなものになる。


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