研究紀要第112号 「基礎学力向上のための授業改善に関する研究」 -067/166page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

実践3

高等学校 理科(科学IB)

1 対象・単元・期間

○対象2年男子t7名女子24名計41名
○単元 「酸と塩基の反応」
○期間 平成9年10月〜12月

2 思考活動を活発にする具体的方策の実践

事前調査の結果から,学習課題を把握するとき教師の支援を必要としていることや関心・意欲の程度が低いこと,考えて理解しようとすることが少ないことがわかった。

これらのことから,思考活動を活発にするために次の(1)〜(3)の具体的方策を講じることにした。

(1)個別,グループ別の教師の助言

―斉授業では,生徒の活動が受け身になりがちなので,積極的に学習活動に参加できるようにグループ活動を取り入れた。グループは,話し合いの中で自由に発言や発想がしやすいように習熟度別とし,事前に実施した中学校学習内容(酸・塩基)の定着度テストの結果をもとに,表1に示した3つの成績群に分けて編成した。各グループはそれぞれ4〜5人で構成した。

表1 中学校定着度テスト成績(100点満点に換算)

  平均点 人数 グループ編成
上位群 53点以上 8名 2グループ
中位群 35〜48点 8名 2グループ
下位群 30点以下 25名 6グループ

※問題数は28問(平均点28点)

なお,習熟度別の編成はこの単元に限って行い,習熟度別にしたことを生徒に意識させないように配慮した。

また,課題を解決する場面では,下位群・中位群の生徒を中心に,思考活動を活発にするための適切な助言や,教師の共感的理解に立った励ましを,生徒―人―人,またはグループ別に継続した。

(2)単元構成とワークシートのエ夫

単元の学習内容は,科学的な事象認識の段階に基づいて,表2のように3つに分けて構成した。

各小単元ごとに,中学校の学習内容との関係に配慮して5〜7の課題を設定し,それぞれの課題ごとにワークシートを作成した。ワークシートは,課題の把握,実験県下の予想,結果との比較など段階的に自分の予想や考察ができるように工夫した。

表2 「酸と塩基の反応」の単元構成

小単元1
(4時間)
「酸とは何か,塩基とは何か」
   <事実関係の把握>
小単元2
(5時間)
「酸性,塩基性の強さと尺度」
   <相互関係・因果関係の把握>
小単元3
(5時間)
「酸と塩基の反応について考える」
   <相互関係・因果関係の把握>

単元のまとめで行った実験のワークシート(一部)

単元のまとめで行った実験のワークシート(一部)

思考活動を活発にする実験の工夫

学習に対する関心・意欲を高め,思考活動を活発にするために,次ぎのような実験を取り入れた。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。