研究紀要第113号 「情報ネットワークの教育的活用と授業改善へ向けた教育用ソフトウェアの活用」 -098/166page

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きる。

授業におけるコンピュータの活用は,まさに授業改善へ向けたひとつの方向性を示すものであると考える。

3 進路指導の実態と課題

教課審の「中間のまとめ」では,「選択学習の拡大や進路の多様化に伴い,児童生徒が夢や希望を持ち,主体的に適切な選択を行うとともに,発達段階に応じ,将来の生き方を考える態度や進路選択能力の育成を図るため,ガイダンスを充実する」とあり,進路の学習の重要性が述べられている。

しかし,中学校の進路指導の現状は,ともすると高校入試のための進学指導に偏りがちである。望まい、職業観や勤労観を形成し将来の生き方を考える上で大切ときれている職業に関する学習は,副読木の利用が主体であり,本来行うべき「啓発的体験学習」は十分なされていない現状にある。理由としては,次の4つが考えられる。

1)教師の進路指導に対する意識が低い。
([表1]福島県教育センターで行った「希望する研修内容についてのアンケート結果参照)

2) 進路指導がいわゆる「進学指導」であるとの意識が強い。

3)「職業調べ」や「職場見学」等の「啓発的体験学習」は,準備や実施に時間と労カがかかり計画を立てにくい。

4) 地域によっては学習したい職種が地元になく,十分な活動ができにくい。

さらに,「中間のまとめ」では特別活動の指導内容の厳選が求められ,特に学級活動では「情報の適切な活用などに関する活動内容を精選する」とあり,情報の収集・活用等に関する―層の効率化が求められている。

以上のことから,授業改善へ向けた―視点として授業におけるコンピュータの活用を取り上げ,進路の学習において職業に関する「啓発的体験学習」の場を生み出すとともに,手軽で生徒の学習意欲を高めるような教育用ソフトウェアの開発と活用法についての研究を行うこととした。

「希望する研修内容」
  中学校経験I
(168名)%
中学校経験II
(195名)%
教科指導 15.4 46.3
カウンセリング 12.1 17.6
生徒指導 11.6 7.4
学級経営 10.9 4.6
道徳教育 10.5 調査項目なし
情報教育 5.7 6.5
進路指導 5.2 2.8
特別活動 6.1 0.9
国際理解 3.6 2.8
教育課程 0.5 3.7
性教育 3.1 0.9
環境教育 2.9 0.9
教育法規 0.5 2.8
障害児教育 1.2 0

(実施時期:平成9年5月から11月)

II 研究の概要

ソフトウェアの開発

(1)基本方針

中学校学級活動の進路指導におけるマルチメディア対応のソフトウェアを開発する。その際,中学校3年間における進路の学習の系統性を十分に考慮し,開発ソフトウェアの活用の範囲を明確にしながら開発を進めていくこととする。

(3年間の主な「進路の学習」系統表)

3 年の主な進路学習系統表


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