研究紀要第113号 「情報ネットワークの教育的活用と授業改善へ向けた教育用ソフトウェアの活用」 -108/166page
では大きな違いがある。
・機会を作って実際に自分で職業について調べてみたい。
エ 授業者の声>
・多様な職業についてソフトウェアを用いて学習できたことは,とても意味があった。画像を見ながら,また自分で選択しながらの学習は,集中した学習の持続につながっていた。
・進路学習には,具体的な例の提示が大変であるということを痛感した。
(3)生徒の意識の変容
授業における開発ソフトウェア活用の有効性を検証する目的で,「進路学習に対するイメージ調査」を第1学年,第2学年それぞれにおいて実施した。
これは,相反した感情表現の項目を設定しそれぞれの項目ごとにどちらの感情に近い状態にあるかを事前と事後に調査し,その変化を見ることによって,進路の学習に対する情意面の変容をとらえようとしたものである。
以下の調査の結果及び考察を述べる。下のグラフに示す通りである。
ここでは, 2つの実践に共通してみられる傾向をもとに,開発ソフトウェア活用の有効性を情意面の変容から読みとってみた。
1)項目1,2の変容から
開発ソフトウェアを活用することにより,情報を自分の意志に基づいて選択し手軽に得ることが可能であるといった,コンピュータ及び開発ソフトウェアの持つ機能が有効に作用していたものと考える。
2)項目3,5,6の変容から
より具体的な貿料を提示することで,職業についてのイメージが漠然としていたものから分かりやすく,身近なものととらえられるようになったと考える。さらに,「楽しい」「好き」「おもしろい」といった学習への関心・意欲の高まりは,進路指導における授業改善に向けて大きな効果があったと考える。
3)項目4の変容から
l学年は高まりが見られたが,2学年は全体としても唯―下降したところである。これは進路に対して「固い」「真剣」ととらえられていたものが,授業を通してむしろ身近なものに感じ,親しみがわいてきたものと考える。