研究紀要第113号 「情報ネットワークの教育的活用と授業改善へ向けた教育用ソフトウェアの活用」 -109/166page

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4)項目9,10,11の変容から

「啓発的体験活動」としての職業インタビューを手軽に疑似体験することで,生徒は進路に関する情報を映像や音声を通してはっきりした形でとらえることができた。このことが,直接体験へのイメージや見通しを深めさせ,今まで持っていた「複雑だ」「何かすっきりしない」 「大変で忙しい」といった進路の学習に対するイメージを大きく変えたものと考える。同時に,コンピュータを使って調べる時間を十分確保したことにより,生徒は自分の知りたいことを自分のペースで学習することができ,主体的な学習がなされたものと考える。このようなことから活動後の生徒の感想にもあるように,「もっと調べてみたい」という活動意欲の高まりに結びついたのではないかと考える。

以上の効果が関連し合い,項目18に見られるように,本時の活動を通して進路の学習への満足度が高まりを示したものと考える。

(4)啓発的体験学習とコンピュ―タの活用開発ソフトウェアについて,次めような感想や意見を得ることができた。

<生徒>

短い時間で職業のことが分かりやすくまとまっていた。自分が希望する職業も入れて欲しい。

インタビュー活動をして職業について知っておくことは大切だと感じた。実際に自分でも機会を見つけてインタビュー活動をしてみたい。

<授業者>

・欲を言えばもう少し多くの職業について学習できると良い。

・地域特有の職業や新しい分野の職業例が盛り込まれていれば,興味はさらに高まった緒思う。

このような開発ソフトウェアに対する感想や意見は,もっと多くの職業,身近にあるというっように,活動の広がありを求める声ともとらえることができる。疑似体験で終わることなく,日常生活においてみぢかな人々に向けたきっかけや意欲付けが図られたものととらえたい。

V 研究の成果と課題 (○成果 △課題)

1 ソフトウェアの開発を通して

(1) 開発ソフトウェアの内容について

○ 24職種という数多くの職業をソフトウェアに収めたため,幅広く職業を紹介することができた。

○画像資料(動画,写真,や音声資料を中心に情報を提供したため,生徒の学習意欲や興味・関心を高めるのに有効であった。

○自動的に起動されるようプログラムし,CD-ROM版として提供できるようにしたため,セットアップ等面倒な準備が必要なく,簡単に利用できるものとなった。また,操作もマウスだけで使いやすいものとなった。

△ MPEG形式の動画についてはフォーマット形式が統―されておらず,機種によっては再生するためのフリーソフトウェアを別にインストールする必要がある。

△職業分類の中で取材数に偏りが出てしまい、全体的なバランスを欠いた。

△ ソフトウェアの内容の充実を図る上から,生徒が直接体験で得た地域の産業などの資料をソフトウェアに組み込める研究も進めていきたい。

(2)開発方法について

○共同開発という形態をとったことは,開発構想・設計,資料準備・取材・編集・活用案作成の各段階での協議・検討を深めることができ,開発ソフトウェアの質的充実につながった。

特に,取材に関しては,取材チームを組みスケジュールを調整しながら行ったため,効率よく短期間で数多くの取材を行うことができた。

○ 昨年度から行っている「マルチメディア教育利用研究事業」により,開発スタッフのマルチメディアに対する知識・技能が高まった。このことは,素材の編集におけるメディアの選択ゃSEとの協議等におけるスタッフ側からの提案等に生かされた。

○ SE活用事業が3年目となり,協議の持ち方,開発方法・手順,開発スタッフとSEの役割分担等


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