平成9年度 研究紀要 Vol.27 個人研究 -125/166page
教職経験10年以下の相関係数〜0,561 かなりの相関ある。 (ウ)フリーカード法未経験者群のうち,教職経験 11年以上の教師には,教職経験年数との相関 が弱くなる傾向にあるが,―方で否定的なカー ドが目立つ。
なお,ここでいう「否定的なカード」とは, 「指示をもっと明確にするべきである」という ような改善意見や「なぜこの段階で作業を中断させたのか」というような疑問点を述べたカードをいう。
教職経験11年以上〜―0,070 ほとんど相関がない。 (エ)フリーカード法経験者群では,改善意見や疑問点を述べた否定的なカードの判断の割合が高い。
2)調査B
ここでは,カードの記述内容を,下記の5つのカテゴリーに,「その他」を加えたものに分け,その割合を調査した。
カテゴリーは,「1)学習に関すること」「3)子どもに関すること」「4)学習訓練に関すること」「5)学習環境に関すること」とした。
分類の基準は次の通りである。
1)教育技術に関すること
教師の発問,板書,教材提示,行動,K,R等,
個々の教育技術に関すること。2)授業設計・展開に関すること
授業全体の構成,教材の解釈・活用に関すること。3)子どもに関すること
子どもの反応や行動,様子等に関すること。>4)学習訓練に関すること
あいさつや発言の仕方,ノートへの記述など,普段の教師の指導がはたらいていると思われる子どもの行動に関すること。5)学習環境に関すること
教室環境について。特に掲示物や学級図書等に関すること。次のグラフ4,5は,それぞれのカテゴリーのカード枚数の総カード枚数に占める割合を示したものである。
グラフ4,5から,次のことが読みとれる。
I フリーカード法経験者群は
○授業設計に関するカードが多い。
○教育技術に関するカードの割合が未経験 者群の半分である。
○子どもに関するカードが多い。
○学習訓練に関するカードが皆無である。
○その他(疑問,質問,研究にかかわるこ と)が多い。2 フリーカード法未経験者群は
○教育技術に関するカードが突出して多い。
○ 10年目までの教師には,子どもに関す るカードが多い。
○11年以上の教師は,10年目までの教 師に比べ,授業設計に関するカードの割合 が若干多い。