平成9年度 研究紀要 Vol.27 個人研究 -127/166page
研究1)から得られたデータは,フリーカード法経験者群と教職経験11年以上の教師が,授業観察において同―傾向を持っていることを示している。
こうしたことから,フリーカード法による授業研究会を実施することは,的確な授業観察眼の育成に有効であり,ある意味で授業スキルの向上にも有効であると考えられる。
2 研究2)
(1)研究の手順
研究2)は,フリー カー ド法を実際に体験しその体験のもとでのメリット,デメリットをまとめたものである。
調査対象は,中・ 高教育方法実践講座参加者50名と研究協カ校の木幡第 二小学校教員14名である。
調査は,
1)授業者の立場として
2)観察首の立場として
の,それぞれの立場でのメリット,デメリットを自由記述で思いつくまま書いてもらった。集計は,記述内容をカテゴリー別に分類した。
(2)研究の結果
調査の結果の上位3項目を次に示す。なお,アンケートでは「考えられるだけ」という条件を設けた。従って複数回答も無回答も認めている。
授業者の立場で
[メリット](FC:フリーカード法,以下同じ)
指摘事項(FC未経験者群)
人
%
・カードに素直な意見が記述されるため改善点が明確になる 16 32 ・自分の気づかない点が分かる 12 24 ・いろいろな視点から授業を観察してもらえる 12 24 指摘事項(FC経験者群)
人
%
・参観者の考え方がわかって話し合いが進めやすい。 5 38 ・素直な意見が聞ける。 5 38 ・意見が整理しやすい。 3 24
[デメリット]
指摘事項(FC未経験者群) 人 % ・素直すぎて怖い 7 14 ・細かいことにこだわりすぎる傾向がある。 7 14 ・まとめるのに苦労する。 6 12 指摘事項(FC経験者群) 人 % ・まとめるのに苦労する。 2 16 ・話愛の中で出る考えもある。 1 8
2)観察者の立場で
[メリット]
指摘事項(FC未経験者群)
人
%
・見方や考え方が広がる。 28 56 ・意見の交換が自由に,かつ十分に行える。 8 16 ・分類作業中に,観察時に考えたこと以上のことが得られる。 6 12 ・授業観察の視点が学べる。 6 12 指摘事項(FC経験者群) 人 % ・分類作業中に,他の人との比較から自分の思考,観察傾向がわかる。 5 39 ・参加意識が高まる。 3 24 ・ポイントに迫る話し合いが行われる。 3 24
[デメリット]
指摘事項(FC未経験者群)
人
%
・まとめるのに時間がかかる。 30 60 ・視点が分散しすぎる。 10 20 ・時間に沿った観察がしにくい。 4 8 ・授業観察の際,書くことに注意が向いてしまう。 4 8 指摘事項(FC経験者群)
人
%
・文章では伝えられないものもある。 5 35 ・作業が多くなってしまう。 1 8