平成9年度 研究紀要 Vol.27 個人研究 -128/166page

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・授業に対するしっかりした考えを持っていないと書けない。 1 8
・観察者の能力が赤裸々になる。 1 8

3)考察

(ア)授業者の立場について

授業者の立場でのメリットとして多かったことは,次の3点である。

○カードに率直な意見が記述されるため,改善点 が明確になる。

○自分が気付かない点が分かる。

○参観者の着眼点や考え方を知ることができるた め,話し合いが進めやすい。

―般に通常の協議会では,改善点を指摘すべきとは思いながらも,授業者本人を目の前にしては,なかなか否定的な意見は述べにくい。その点フリーカード法では,「カードへの記述」で観察者の考えが表出できるため,率直な意見を述べやすい。したがって通常の協議会よりも,授業者にとっては得ることが多いという意見が多数を占めたものと思われる。この点については,逆にデメリットとして「率直過ぎて怖い」などの回答も見られる。ただ,こうした指摘については,フリーカード法のデメリットというよりも,校内の研修意識の問題であるとも言える。

(イ)観察者の立場について

メリットとして,多くの被験者が「カード分類の過程で,授業の見方や考え方が広がる」と答えている。

フリーカード分類の写真

カードの分類の過程では,カードの読み合わせによって自分とは異なる視点や意見の相違に直面し,自分にはない授業の見方に気付くことができる。また,カードを同―種類ごとにまとめる必要があることから,記述事項の真意を更に深く追求することになり,自然発生的に授業に関する「話し合い」が行われる。多くの被験者が回答している「見方や考え方の広がり」のメリットは,この作用を指摘しているものと思われる。

また,こうしたカードの読み合わせや非公式の話し合いは,追求が深ければ深いほど多くの時間を要することになる。デメリットとしてあげられている「まとめるのに時間がかかる」は,このことを指摘していると考えられる。

未経験者群がデメリットとして指摘している「視点が分散し過ぎる」に相当する回答が経験者群では見られない。

同じことを表現していても記述者が異なれば異なった文章表現がなされることになる。未経験者群では分類作業を厳密に行おうとするあまり,同―のカテゴリーに分類されるべきものも異なるカテゴリーとして分類している可能性がある。

こうしたことから未経験者群で指摘されている「視点の分散」は,回数を重ねることによって徐々に解消されるのではないかと考えられる。

被験者が指摘しているフリーカード法のメリットは,大きく次ぎの2つに集約できる。

1カード分類の家庭で授業の見方・考え方が広がる。

2カードをもとにした話し合いによって,研究協議会の活性化が図られる。

カード分類の家庭に価値を見出している回答が多いが,この段階で必要とされる時間と労力はフリーカード法の大きなデメリットでもある。校内授業研究会にフリーカード法を活用していくためには,このデメリットをどのように克服していくかが大き


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