平成9年度 研究紀要 Vol.27 個人研究 -129/166page
な課題になると考える。
3 フリーカード法の授業研究会への活用について
ここでは,研究1),2)から得られた知見をもとに,フリーカード法の校内授業研究会への活用の仕方を探ってみたい。
(1)フリーカード法の基本的手順
1)準備
名刺大のカード 観察者の人数20〜30枚
必要に応じて,観察者の名前や時刻を記入する欄を設けておく。後の整理のことを考えると,付箋紙を用いるのも効果的である。
2)授業観察の段階
察者は,授業を観察しながら,カードに授業者の教授行動,子どもの学習行動,学級の雰囲気等について思いつくまま自由に記述していく。この際,次のことに注意する。
(ア)カードl枚につき,1項目の内容に限る。
(イ)カードの価値判断は,カード整理の段階で行 えばよいので,「つまらない」と思えるような ことでも遠慮なくどんどん書く。
(ウ)必要に応じて,色別のカードを準備し,記述 の内容によって使い分ける。3)カード整理の段階
授業全体の特徴や問題点などを明確にするため, 授業の流れにとらわれることなく,類似する項目 のカードを集め,構造化していく。
手順を次に示す。
観察者が記述したカードを集め,畳半分ほどの広さの机や床に広げる。
1
類似した内容のカードを集めて束ねる。―番 上には,カードの束を代表するような表現で記 述されているカードをおく。
2
最終的には,5項目程度になるよう分類作業を続けていくが,無理にまとめようとせず,1枚しかないカードも大切に扱う。
3
各カードやカードの束の関係付けを行う(構造図2の作成)。例えば,カードやカードの束の間に関連が見られる場合は―,反対の立場である場合は→と線を引いて示したりする。できるだけ先入観にとらわれず,カードに語らせることを基本にする。
4
必要に応じて,構造図を印刷し,協議のための資料として配付する。
5 4)研究協議の段階
協議会参加者は,構造図を読み,次のことを把握しておく。
1 ・観察者は主に授業の何に注目しているか。
・授業の特徴は何か。
・共通に問題にしていることは何か。
・同じ評価対象に対して全く異なった意見 が出ているものは何か。
協議会の司会者は,構造図を熟読し特に話題の中心となりそうなものを把握しておくようにする。できれば,カードの分類作業に携わっていることが望ましい。協議に先立ち,カードから得られたいくつかの観点を示して協議を始める。
2