平成9年度 研究紀要 Vol.27 個人研究 -130/166page

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(2)校内授業研究会への導入

校内授業研究会へのフリーカード法の導入は,その特徴を考えれば,(1)に示したような手順で進めるのが望ましい。しかし,研究で多くの体験 者が指摘しているように,分類作業の段階で,カー ド整理のためのかなりの時間が必要となる。

そこで,多忙な学校にあって,フリーカー ド法のよさを維持しながら活用していくために,いくつかのパリェーションをまとめてみた。

バリエーション1[分散方式]

○いくつかのグループに分かれて,それぞれが分類作業を行う。

整理するカードの総数を考えると,ひとつのグループは,3〜5人程度が望ましい。それぞれのグループで独自に分類作業を行い,その結果を協議会で報告するようにする。グループの構成員が異なるため,違った視点での構造図が提出されることもある。このことを糸口に協議会を行えば,協議会の―層の活性化が図られる。

ただ,この方式でもカードの整理には少なくとも30分は必要である。全員協議会の資料とするためには,事前にカード整理のための場の設定が必要となる。

パリエーション2[代表方式]

○カードの分類作業を,代表の2〜3名で行い,その結果を協議会に提出する。

研究対象とする授業後に,2〜3名で分類作業を行い,構造図を協議会に提出する方法である。担当の教師以外は,全員協議会まで校務に専念できる。

ただ,この方法ではフリーカード法の大きなメリットのひとつである「分類作業での話し合い」にはとんどの教師が参加できないことになる。

なお,協議会の活性化のために,分類作業には,授業者,協議会の司会者が携わることが望ましい。

パリ工ーション3[視点限定方式]

○授業観察の視点を,研究のねらいに応じてあらかじめ決めておき,観察する。

視点が決められているため,カードの整理は容易に行える。授業者が特に意図していることがあり,その視点に沿っての授業観察を望んでいる場合は有効な方法である。

ただ,観察者は定められた視点にのみ集中することになり,期待するほど活発な協議が期待できない。

パリエーション4 [時系列整理方式]

○カードの整理を,授業の時間軸に沿って行う。

授業展開の順序に従って分類するため,整理が容易である。肯定的なもの,否定的なもので分類していけば,授業展開との関連で評価できる。

ただ,分類のためには模造紙のような大きな用紙を準備する必要があり,またその枚数も多くなって全体像が見えにくくなる。

また,授業観察を時系列整理を前提として行えば,授業をトータルな視点で見るカードが少なくなる可能性がある。

V研究のまとめ

「フリーカード法は,教師の授業スキルの向上に有効である。」という仮説の検証を目指して研究を進めてきた。

授業スキルの向上は,当該教師が担当する目の前の子どもが望ましい姿に変容してはじめて確認されることである。従って本研究の成果のみをもって断定することは慎むべきことではあるとは思うが,一連の研究を通じて,当初に掲げた仮説は有好である


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