平成9年度 研究紀要 Vol.27 個人研究 -137/166page
の傾向が強く安定した状態であり,イ,ウの順に次第にその傾向が弱くなっている。逆にウは変化の程度が大きい。イを選択した者は,程よい安定と緊張とを望んでいるようだ。ウを選んだ割合が,A,Bともほとんど同じなのは興味深い。
また,設問3の図形からは,求心性と遠心性の傾向を読み取ることもできる。
設問5 集合と拡散における傾向
ここでは図7のパターンのいずれか好今の方を選ぶ問いである。出題は次の通りである。
次ぎの,ア,イのどちらか好きなほうを選んでください。 グラフ4がその結果である。
どちらのグループも高い割合でイを選んでいる。ア,イのパターンを比較すればアは集合,イは拡散ということになる。また,アは中央が手前に向かって突出してくる感じ,イは中央へ遠のいていく感じを受ける。イを選択した生徒について,l点透視図法による線遠近法の素地を見ることができる。透視図法は人が矩形を基準とした建造物を造るまでは,現在のように認識されることはなかった。自然の遠近の感じは山や樹木の重なりと,空気の層,そして遥か遠くまで自分の足で移動するという実感をもって認識される。
設問6 リズムと統―における傾向
次ぎの,ア,イのどちらか好きなほうを選んでください。 図8の作品のいずれかを好みで選ぶ問いである。グラフ5がその結果である。
唯―作品を扱っているので,作者の個性を感じながらの選択になるが,ここでは,アにおける同じパターンの羅列的繰り返しによるリズムと,イの花弁状の枠を自ら作ったためにもたらされた制御とも言