平成9年度 研究紀要 Vol.27 個人研究 -138/166page
える統―感のどちらを選ぶか,という問いである。Bにおいてイを選ぶ傾向が比較的多いということは,やはり画面の中に,秩序や,何か全体を収束させる核のようなものを要求する傾向があるのかも知れない。それらは時として,製作における自由さを奪い画面を硬くする要素にもつながる。
設問7 画面の中心と分割の傾向
ここでの調査は次の出題による。
解答用紙の枠の中に縦(垂直)の線1本と,横(水平)の線1本を自分が最もよいと思うところにそれぞれ引いてください。2本の線は枠の中のどこかで垂直に交わります。線は定規をあてて,枠のはいしまで届くようにひいてください。 枠のスケールは ルート2矩形とした。大きさは図9の通りである。
この問いは,画面の中に縦横の直線が引かれることによってできる交点,すなわち画面の中心をどこに置くかを見ようとしたものである。また,水平線・垂直線を,それぞれ画面の縦・横を好みの割合で区切る分割線と見ることもできる。
図10と図11は,A,Bそれぞれのグループの交点のみの集合を示したものである。なおAについては画面中央にあまりに交点が集中したので,全く重なったものは若干ずらしてある。有効対象者数はAが141名,Bが86名である。
ある者は,交点を画面の中央付近にとって安定を望み,ある者は,画面の求心性と遠心性との間で程良いバランスを探ろうとしている。
対象者数の違いはあるが,A における図10では画面中央に集まろうとする点の集団を感じる。また,Bにおける図11では中央から対角線に沿って移動する点の動きを感じる。交点が対角線上に位置するということは,水平・垂直の分割によって画面と同じれルート2矩形が,あと2つできることであり,画面全体の縦横の割合を意識していることを意味する。