平成9年度 研究紀要 Vol.27 個人研究 -140/166page
設問2 画面としての認識の傾向
グラフ6がその結果である。Dグループの方が,ウの選択率において10ポイントほど多い。イ,ウも含めたC,Dグループの選択の傾向の差は, 調査1 と同じである。演習による効果がある程度認められるのではないか。
設問3,4 形態,画面におけるシンメトリー傾向
グラフ7,8がそれぞれの結果である。グラフ7(設問3)におけるグループ間の差はほとんどない。
ワークシート演習での効果は見られない。さらに,グラフ8(設問4)アの選択率に見られるように,ワークシート実施グループの方が画面のシンメトリーを好む傾向が強まっている。これは筆者が期待したものと逆の結果である。図15による演習が,対象者の負担となり,むしろ確かな安定を望む傾向を持たせたのではないだろうか。
図17は,実際にワークシートに描かれたものである。ほとんどの対象者がこのような画面の配置とバランスを作り出している。すなわち,設問4の図,イ,ウにみられる左上の大きな円と右下の小さな円による配置と重量のバランスである。この絵の作者のように楽しげな画面をつくり出した者ばかりではない。迷った末,仕方がなく視線の方向にごく小さなものをささやかに描いた者もいる。黒々とプリントされた人物の重量と自らが描き加えた鉛筆の小さな表現とのアンバランスが,枠を描くことで強調され,ストレスを感じてしまったのかも知れない。敏感であるがゆえの「気付き」がかえって変化を回避きせたとも考えられる。
設問7 画面の中心と分割の傾向
ここでは,調査用紙の枠の縦横をそれぞれ同じ幅で9分割し,その中に交点を取ったものを人数で表した。表2と表3がその結果である。
いずれのグループも対角線付近に交点を取る者が多く,そこから,にじむように散らばっていく。画面中央の人数をみると,Cグループ25人,Dグループ23人であり,対象者数の割合からみてほとんど同