平成9年度 研究紀要 Vol.27 個人研究 -145/166page

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ことで生まれ,豊かになる。 保健体育の授業において,感情が豊かになるとは,運動の特性にふれる楽しさを味わうことと考える。 「できなかった技ができた!」「作戦を立て練習して勝てた!」などの特性にふれる楽しさを味わうことで,感情が豊かに湧いてくるといえる。

(2)感情を分かち合える授業

感情を表出するだけでは,感情の交流には至らない。表出した感情が受け止められて,初めて感情の交流が行われたといえる。 互いの感情を分かち合う体験を.体育の授業の中に意図的に設定することが必要と考える。

(3)教育相談の機能を生かした教師のかかわり

「表出した感情は,受け止めてもらえる」という安心感が,感情の表出を促し感情の交流を深めていく。生徒の安心感は,教師と生徒の信頼関係の深まりとともに強くなっていく。そのためには,<教師と集団>という関係だけでなく,<教師と―人の生徒>という関係を,すべての生徒が実感できることが人切である。また,教師と集団,教師と―人の生徒の関係づくりの中に,教育相談の機能を生かしていくことが信頼感を強くすると考える。

そこで,教育相談の機能を生かし,感情の交流を深める教師のかかわりを次のようにとらえた。

○教師の基本姿勢

・生徒の思いや考えを受け止め,共感できる関係をつくろうとする。
・生徒のよさや可能性を生かそうとする。

○具体的な指導援助の手立て

・見守る―気持ちをとらえ見守る。
・認め励ます―気持ちとともに活動の経過や結果を受け止め,言葉をかける。
・共感する―共に活動し,気持ちを共有する。
・促す―気持ちに寄り添って,助言する。

5 感情の交流を深める保健体育の授業の流れ

1〜4の考えに基づき,感情の交流を深める体育の授業の流れを, 生徒のこころの動きに着目し次のようにとらえた。

第1段階 こころが柔軟になる

         ↓

第2段階 こころが授業に向き合う

         ↓

第3段階 感情を味わう

         ↓

第4段階 感情を分かち合う

各段階の指導援助を,次のようにとらえた。

(1)第1段階 こころが柔軟になる

生徒は,学校や家庭で様々な思いを感じながら生活している。その中には,保健体育の授業を楽しみたいと思いながらも,様々な思い(友達とのトラブルや学業不振による不安等)から,授業に向き合えないでいる生徒もいると考えられる。

そこで,体とこころのふれあいが体験できるウォーミングアップとして次に示すような活動を取り入れ,体を動かしながら気持ちをほぐし,こころを柔軟にしていくこととした。

・じゃんけんおんぶ ・てつなぎ鬼 ・氷鬼
・人間知恵の輪 ・ミラーリング など

(2)第2段階 こころが授業に向き合う

こころが授業に向き合う姿は,生徒が,学習内容に興味関心を持ち積極的に学習する姿として現れる。

こころが授業に向き合うためには,教師が生徒の運動の特性にふれる楽しさを正確にとらえることが必要である。バスケットボールの授業においては,生徒の運動の特性にふれる楽しさを「チーム対チームで作戦をたて,勝敗を競い合う事のたのしさ」とおさえ,ゲーム中心の指導過程を立て,こころが授業に向き台えるようにする。

(3)第3段階 感情を味わう

感情を十分に味わうためには,今持っている力を出し切って学習することが必要である。今の自分の


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