平成9年度 研究紀要 Vol.27 個人研究 -148/166page

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感情を交流しあえる(授業)―あまり思わない

気持ちが分かってもらえる ―あまり思わない

アンケートの結果は「あまり思わない」という回答がほとんどであったが,バスケットボールの授業では,感情を味わえると回答していた。A男がバスケットボールの授業で味わっている感情を,教育相談の機能を生かしたかかわりによって大切にしていくことが必要と考えられる。

2)授業の実際

A男の様子を中心に授業の実際を述べる。

<第2時間日(なか1)>

始業前A男は, 一人壁にもたれ立っていた。 授業開始後も全体で教師の話を聞く場面で1は, 終始うつむいていた。 そんな中,こころを柔軟にするウォーミングアップが始まった。

○第1段階―こころが柔軟になる

<じゃんけんおんぶ>

二人組を作り,じゃんけんをして負けた人が勝った人をおんぶする。おんぶしたま ま,もう―つのぺアとじゃんけんをする。勝ったぺアは,負けたぺアの人にそれぞれ おんぶしてもらう。

生徒は歓声を上げながら,楽しそうに活動していた。しかし,A男はみんなが楽しそうに 活動する中に入れず, どうしようか迷っていた。そんな様子を見たT教諭は, 「一緒にやろう!」 と言葉をかけたが決心がつかないようで活動はできなかった。A男のこころは,ときほぐされないままであった。

○第2・3段階ー心が授業と向き合う・感情を味わう。

ゲーム→チーム練習→ゲームという学習の流れの中で,A男はゲームを自分なり楽しんでいた。じゃんけんおんぶの時よりも,明るい表情となった。しかし,チームの中で自分がどんな動きをすればよいのか分からず,パスを受けた時には, ボールをどうすればよいのという戸惑いの表情がみられた。 T教諭は,「A男!そのままシュートだ!」 と名前を呼んで声をかけた。A男のシュートは入らなかったが, ディフェンスに入るその後の動きは素早く,表情は真剣だった。 T教諭の声かけがA男のこころを授業に向き合わせたといえる。アンケートで「バスケットボールの授業にあまり夢中になれない」と回答していたA男であるが,T教諭の活動を促す声かけによって,夢中になって活動することができた。

○第4段階―感情を分かち合う

チームごとに授業を振り返り,自由に感想を述べ合う活動では,単元の初めでもあり,どんなことを話し合えぱいいのか戸惑いもあってか,それほど活発ではなかった。今日の授業はA男にとって自分の感情を十分に味わい・感情を分かち合えるものではなかった。しかし A男が授業に向き合うきっかけを感じ取った授業であった と言える。

<第7時間目(なか1)>

始業前,A男は,チームの仲間3人と楽しそうに2対1の練習をしていた。 「ナイスシュート!A男!試合でもそうやればいいんだよ」 と仲間に声をかけられ照れくさそうな表情を浮かべていた。

○第1段階―こころが柔軟になる

前回と同じじゃんけんおんぶを行った。T教諭も生徒と―緒に活動した。T教諭をおんぶする生徒の表情は,重たさを感じながらも楽しそうであった。A男も―緒に活動していた。

○第2・3段階―こころが体育の授業と向き合 う・感情を味わう

A男の目の輝きは,前回と違っていた。シュ―トを放つことが2回であった前回に比べ シュート回数は、9回に増えた。 また前回に見られた戸惑いの表情はすくなり,A男の表情


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