平成9年度 研究紀要 Vol.27 個人研究 -149/166page
には自身が感じられた。 夢中になって授業に取り組むA男の姿がみられた。
第4段階―感情を分かちあう
いつもチームの仲間の―番端にいてほとんど話をしないA男であったが,今回は,仲間と楽しそうにゲームを振り返っていた。 「A男君はシュートを積極的に打っていたのが良かった。」 というチームメートの話を嬉しそうに聞いていた。T教諭が「A男,ナイス,シュート!」と声をかけると.A男は, 笑顔で応えていた。
3 授業実践の分析と考察
(1) A男の変容
[担任]
A男がチームに溶け込めるか心配だったが,バスケットボールの授業を通して,チームの仲間と―緒に楽しそうに活動している姿が見られ るようになって安心した。また,―人で過ごし ていた休み時間も,友達と―緒にいる場面が見 られるようになってきた。
[アンケート結果(事後)]
クラスの雰囲気 −いい
みんなと一緒にいると楽しい −まあまあ思う
みんなと一緒にいると安心 −まあまあ思う
感情を味わえる(授業) ―まあまあ思う
感情を交流し合える(授業) ーまあまあ思う
気持ちが分かってもらえる ―あまり思わない
太字の部分が授業後変容がみられた項目である。
授業に関する項目では,「感情を交流しあえる」に変容がみられる。また,クラスに関しては,「―緒にいると楽しい,安心できる」そして,クラスの雰囲気を「いい」と回答している。 授業での感情の交流の体験によって,A男のクラスの人間関係に対するイメージが変わった 結果であると考えられる。
(2)A男の感情表出・感情の交流の分析
宇土正彦氏が開発したW・F・C観察法を基に「授業記録カード」(P150)を作成し,教師のかかわり・生徒の活動を記録した。この授業記録カードによって,A男の感情表出・感情の交流の分析と,教育相談の機能を生かした教師のかかわりの分析を行った。
A男の感情表出・感情の交流について,その頻度をグラフ化した[図4]。感情表出は正の感情表出(喜び,楽しさ,意欲等)と,負の感情表出(不安,悲しみ等)に分けた。正の感情表出負の感情表出,感情の交流を合計した感情表出・感情の交流の合計は,授業が進むに従い増加している。これは, 授業が進むに従い,生徒のこころが開放され感情表出・感情の交流が促進された 結果である。また,正の感情表出は授業が進むにつれ増加しているものの,負の感情表出と感情の交流はあまり変化がみられなかった。では,どの様な学習場面で感情の表出・感情