平成9年度 研究紀要 Vol.27 個人研究 -150/166page
の交流がみられたのか。[図5]は,ゲームと練習(話し合いも含む)の感情表出・感情の交流の回数を比較したものである。
感情表出は,ゲーム中に多くみられた。これは,A男のこころがゲームに向き合っていたことによると考えられる。―方,感情の交流はゲーム中よりも,練習の時間に多くみられた。これは,どうしたら勝てるか話し合い,作戦に基づいた練習の中で,指示し合ったり,声をかけあったりする場面がみられたためと考えられる。 チーム内で互いの考えを出し合い,作戦を十分に考える等,学習が深まる過程で感情の交流が深まった事が分かる。 以上のように,A男は授業を通して,自分の感情を表出し,教師や生徒との感情の交流が深まることで,自分の気持ちが受け止められたことを感じ,教師や生徒との人間関係を深めることができた。
(3)クラスの生徒の変容
次に,クラスの変容を分析・考察する。
1)感情の交流と人間関係
感情の交流の深まりと,よりよい人間関係についてみるため,クラス全体を感情の交流が深まった群と深まらなかった群に分け,自分の気持ちが分かってもらえたと思う割合を比較した[図6]。
その結果,感情の交流が深まったと感じている群の方が,自分の気持ちや考えが分かってもらえたと感じていることが分かる。このことから,生徒相互の 感情交流を深める事が,生徒相互の理解を深めよりよい人間関係を育む ことが分かった。