平成9年度 研究紀要 Vol.27 個人研究 -151/166page
2)クラスに対する生徒の意識
クラスに対する安心感を授業実践の事前と事後で比較しグラフ化した[図7]。 「とても思う」が増加したのに伴い,「あまり思わない」「全然思わない」が減少している。これは,授業を通して教師と生徒,生徒と生徒が感情の支流を深め,気持ちを受け止め合い相互の理解が深まったことで,クラスに対する安心感が育まれたためと考えられる。
また,クラスの雰囲気については事後に"あったかい,太陽みたい,にぎやか,ワイルド"などの新しいとらえ方が加わった。これは,授業を通して人間関係が深まったことで,クラスの雰囲気のとらえ方が広がったためと考えられる。
以上のように,授業を通してクラスに対する生徒の安心感が育まれ,クラスの人間関係の深まりがみられたことから, 授業で育まれたよりよい人間関係は,クラスの人間関係にも影響を及ぼす事が分かった。
(4)教育相談の機能を生かした教師のかかわりに付いての分析
授業記録(P150)を分析した結果,ゲーム,練習,話し合いにおいては, 「見守る」という教師のかかわりが集団に対し授業全体を通じて行われていたこと,また「認め励ます」 「共感する」 「促す」教師のかかわりが個人に対し随時行われていたことが分かった。そこで, 「認め励ます」 「共感する」「促す」教師のかかわりについてグラフ化し分析した[図8]。
「認め励ます」 「促す」かかわりに対して, 「共感する」かかわりが少ないことが分かる。このことは,授業の中で教師が共感的に子どもにかかわることの難しさを表しているものと思われる。しかし,授業が進むにつれて共感するかかわりが,わずかながらが増加していることが分かる。これは,授業が進むにつれて,教師と生徒,生徒と生徒の感情の交流が深まり,互いの気持ちを共感する雰囲気が授業の中で生まれてきたためと考えられる。
また,観察から教師のかかわりと生徒の感情表出
・感情の交流について次の事が分かった。
○促すかかわり(気持ちに寄り添って助言す る)の直後,生徒の感情表出が多く観察でき た。
○生徒個人に対し直接的,具体的に認め励ま す場面で感情表出が多く観察できた。
○活動を促すかかわりにおいては,その結果 を認め励まし,―緒に喜んだり,悔しがった りするなど共感するかかわりが伴うことで生 徒の感情表出・感情の交流は促進された。
また,授業を実践した教諭からは,「共感する」