平成9年度 研究紀要 Vol.27 個人研究 -153/166page
不登校の子どもの訴えに応える学校・家庭のかかわり方を探る
ー来所相談と適応指導教室の事例を通してー
長期研修員 添 田 和 子
研究の要旨
本研究は、増え続ける不登校の子どもの訴えに応えるために,学校・家庭でどのような支援ができるかを探ったものである。そのために,不登校の現状を把握し来所相談と適応指導教室の事例の分析,検討を行った。その分析,検討の中から,不登校の子どもや,不登校という形には現れないものの不登校の子どもと同じような悩みをもつ子どもに,学校・家庭ができる支援を模索した。その結果,次のようなことが見えてきた。
(不登校の子どもの姿)
○学校に行きたいという気持ちがあっても,行くことができずに悩んでいること
○自分に対し,能カのないだめな人間というイメージをもち,自信をなくしていること
○誰かに助けを求めたいのに,求められないでいること
(不登校の子どもへの基本的なかかわり)
○ありのままの子どもを見つめ,その子どもの心情を聴こうとすること
○今,子どもが必要としている支援をしていくこと
(不登校の子どもを生まないかかわり)
○子どもの向上心や可能性を信じ,子どもの思いや願いに耳を傾けてかかわること
○―人―人の子どもが存在を実感できる充実した授業を創造すること
I 研究の趣旨
子どもが身も心もたぎるような楽しさを味わって子どもらしく生活すること,それは,子どもが自立し社会人として生活をしていくために必要不可欠なことであると考える。しかし,子どもにとって,現代の社会環境は決して望ましいものではない。少子化,高学歴化,情報化,高齢化等,子ども自身では解決できない状況に置かれているといえる。その中で,かけがえのない子ども時代を過ごすべき子どもが,多くの不安や悩みを抱え,さまざまな形でその不安や悩みを訴えている。その顕著な例が不登校という問題である。その特徴として
○子どもが,学校に行っていない自分を責め,深く傷つき,自信をもてないでいること○教師や保護者が,不登校の対応に深い戸惑いと悩みを抱いていること
○不登校に陥った直接のきっかけが学校生活に起因している場合が多いこと
などがあげられる。
これらのことから,不登校の子どもの姿や気持ちを見つめることで,教師や保護者が子どもへのかかわり方を学べるのでないか,不登校の子どもの訴えに応える学校・家庭のかかわり方を模索できるのでないかと考え,本主題を設定した。
II 研究の内容・方法
1研究の内容
(1)不登校についての理論研究
(2)不登校についての資料の分析と検討
(3)不登校の子どもの実態,教師の意識の把握