平成9年度 研究紀要 Vol.27 個人研究 -155/166page
といった,いわゆる学校嫌いの気持ちを生じさ せ,不登校になってしまうケースがある。また, 子どもにとって友人関係がもつ意味や意義は極 めて大きなものがあるが,このことがうまくい かず不登校になってしまうケースもある。
○家庭を取り巻く地域社会の変化,子どもの遊 びの変化等により,子どもの調和的な成長を支 える教育基盤が脆弱化しており,子どもがたく ましく生きる力を十分に身につけられないまま 成長している面がある。
○さまざまな不登校のケースの中には,子ども や親が何が何でも学校に行かなければならない という義務感を抱く結果,それがプレッシャー となり不登校の状態をかえって悪化させてしま うケースが少なくない。
2 来所相談,適応指導教室の子どもの声
(1)子どもの声,不登校の子どもの姿,基本的なかかわり
悩む子どもの声,姿 基本的なかかわり 変容していく子どもの声 小
4
A
男「先生,こわいよ。勉強
できないとおこられる
んじゃないかと心配に
なる」「学校,こわいよ」
「勉強はじしんないな」・遊びや運動等によ
って自分に自身を
もたせ,不安を軽
減するかかわり
・生活リズム改善の助言「僕,勉強できるように
なりたいよ」「勉強もや
ればできるようになる
んだ」「友達っていい
なあ。大好き」
中
2
B
子「友達が何かいつも
ひそひそ言っている」
「人が信じられない」
「学校なんていや」
「先生にも話をした
くない」・自分を見つめていけ
るような環境調整
(保健室での学習,
自主的な活動)
・話を聴くことで考
えを整理できるよ
うな支援「友達がほしい」
「お父さんお母さん,話
を聴いて」「小学校の
時にいやなことがあっ
て・・・・・
(自分の見つめ直し)」子
3
D
男「友達なんて面倒く
さい」「勉強なんて,
わかればいいんだか
ら1人でやった方が
早くわかるようになる。」・説得をしようとせ
ず本人がリラック
スできる場をつくり,
本当の自分にきづけ
るようなかかわり「本当は,学校に行
きたい」「みんなと遊
んだり,勉強したりで
きる友達がうらやましい。
本当は,ぼくもそうしたい」子
4
E
子「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「何がどうなってい
るのか・・・・・・・・・・
自分でもわからない」・生活リズム改善の
助言
・言葉意外の表現
で気持ちを表現し
たり,不安を軽減
したりできるよう
なかかわりわたし,とってもさび
しい」「友達がほし
い」「お母さん,一緒
にいて」
小
1
F
子「学校,行きたくない」
「お母さん,一緒に遊
んで」「わたしは運動
が下手だから,だめ
なんだ」・本人の甘えたい
気持ちを満たすよ
うな環境作り(母
親との登校,学習)
・生活リズムを改善
の助言「もうちょっと,休み
たい」「先生,お母
さん,ちょっとわた
しを見ていて」