平成9年度 研究紀要 Vol.27 個人研究 -159/166page
ちゃう」と弱音を吐けるようになってきた。
その間,学校からは友達がプリントを届けたり担任が,本人が行けなかった修学旅行のお土産をもって家庭訪問をしたりしている。
自分から動き出したC男
[分のことを話す→ゆっくり休む→自分を見つめる]なかでC男が動き出した。
<11月中旬>
C男からA男に電話する。
C;明日から,学校に行こうと思う。
A;明日は普通の日だから,土曜日からでもいいんじゃないか。
C;(あいつ,人間でかいな)
翌日,登校時刻に登校する。
C:(これが普通の生活なんだ。登校してよかった。勝手に恐怖だけがふくらんでいたんだ。昨日まで,座席のことや友達にどうあいさつしようなんて考えていたけど,心配しなくてもよかったんだ)
3校時まで授業を受けたものの疲れたので,そのことを担任に話す。
C;疲れました。帰りたいです。
担任;そうだよね。徐々に慣れていけばいいね
C;(言い訳はいらないんだ)
4校時は授業に参加せず,帰宅する。
C;お母さん,僕が学校に行ったから,もっと喜ぶと思ったのに普通だね。
母;うれしかったよ。
その後は週1日程度,休むことはあるが,登校している。(相談面接終了)
(学校でのよかったかかわり)
○教頭が本人や保護者に相談機関を紹介したことから,本人や母親が安定感をもてるようになっ た。また,担任も,教頭のアドバイスからC男本人の様子を焦らず見守り,彼に必要なことが 何かを見ようとするようになった。
○担任や友達が,いつも学校に関する情報を発信していた。
本人が動き始めた時(登校した時),無理をさせずに,さりげなく受け入れた。
(家庭でのよかったかかわり)
○母親が本人を理解しよう,支えようとして,祖父母に協方を求めるなど,ゆっくり休める雰 囲気をつくった。
○家族が,本人が自分の力で動き出せることを信じ,見守り続けた。
(3)集団にとけ込めず頭痛を訴え続ける事例
1)対象 高校3年生 女子 (1子)
2)問題
○学校のことを考えると不安で頭痛がひどい。
○学級に友達ができず,学校がつらいと感じている。
○人と顔を合わせたり,外出したりすることがなかなかできない。
3)資料
<小学校時代>
○体育の時間に失敗を笑われたことをきっかけに学校ということばを聞くと腹痛,頭痛が ひどくなる。
○ 担任に「みんなと―緒に勉強するのは無理かも」と言われたショックから,引ききこもり の状態になる。
<中学校時代>
○欠席日数は,l年生では約50日,2年生では約120日,3年生では約180日であ る。登校できた日も頭痛という理由から,ほとんど保健室で学習する。
○成績は全教科評定1(10段階)である。
担任に進学を勧められ,高校を受験する。
<高校入学後>
○学校に行こうとすると頭痛がする。
○成績は全教科評定5(5段階)である。
2年生では,集団面接を受けていたが,3年生からは本人の希望で個別面接を受ける。