平成9年度 研究紀要 Vol.27 個人研究 -161/166page
○母親の思いも聴き,信頼関係を築くとともに 母親の気持ちの安定にも努めた。
(家庭でのよかったかかわり)
○母親が本人の話をしっかり聴き,本人の気持 ちを支えた。
○教育相談係の教師と連絡を取りながら,本人 が変わろうとしていることを見守り応援した。
IV 事例から明らかになったこと
1 不登校の子どもの姿と変容から見えてくる子どものカ
これまであげた事例から,不登校の子どもがどんな状況にあり,どのような思いでいるのか,また,自分をどのようにとらえ,どう動き出していったかは,次のようにまとめられる。
(1)不登校の子どもの姿
<事例から>
○不安で傷ついている。
○自分のことを好きになれないでいる。
○誰にどう助けを求めていいかわからずに迷っている。
○「良い子」に縛られ,身動きが取れないでいる。
○がんばり続けて疲れてしまっている。
○新しい環境で自分らしく行動できるまでに時間がかかる。
○学校に対するようイメージ,友達と触れ合うことへのよいイメージがもてないでいる。↓↓
[不登校の子どもの姿]
◎学校に行きたいのに行けず,悩んでいる姿
◎自分に対し,だめな能力のないイメージをもち,自身をなくしている姿
◎誰かに助けを求めたいのに求められないでいる姿(2)変容から見えてくる子どもの力
<事例から>
○子どもは些細な事できずつくことがあっても,自分から動き出す。小学校から
高校までという長期にわたる不登校の子どもでも動き出す事ができる。
○子どもは学校に行きたい,勉強したい,分かるようになりたいという向上心を
もち,自分の思いや願いを実現しようとする。↓↓
[変容から見えること]
◎子どもはありのままの自分を見つめてくれる人がいれば自分で動き出す力
を持っていること
◎子どもは向上心や可能性をもった存在であること2 学校・家庭でできるかかわり
事例をもとに,不登校の子どもが動き出せるようになった基本的なかかわりと教師や保護者が子どもをどうとらえ,どのような姿勢でかかわっていくのが望まれるかは,以下のようにまとめられる。
(1)基本的なかかわり
<事例から>
○子どもの不安を軽減し,自身がもてるようなかかわりをする。
○じっくりと子どもの話を聴き,言葉意外からも聴こうとする姿勢でかかわる。↓↓
[基本的なかかわり]
◎ありのままの子どもを見つめ, 心情を聴こうとすること