研究紀要第115号 「「生きる力」としての「学力」を育てる学校教育の創造」 -003/117page

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例えば,「生きる力」としての「問題解決力」を育てる場台,まずは子どもの意欲を大切にすることである。学習に突き勤かす意欲を持って学習に取り組む体験を繰り返すことによって,子どもたちは目標を持つことの意味や価値を理解していく。

従って,教師にはこれまで以上に子どもたち一人一人の学習ニーズの把握に努め,魅力ある教材の開発に力を注ぎ,共に学ぷことで感動が得られるような学習活動を工夫していくことが求められる。

次に,自力解決の方法が分からないとか,自力解決の訓練が不十分であるということで,子どもの意欲が失われないように,基礎・基本の徹底を基盤とした「学び方」の指導を重視し,「活かす力」を育てていくことが必要になってくる。教師にはこれまで以上に計画的・継続的に「学び方」を指導していくことが求められる。

さらに,学校は自他の違いやそれぞれの特性を学習する場でもある。子どもたちは他と活動しながら,自他の痛みや思いやりを体験的に学習していく。集団の中で共に学び台い,認め合い,高め合うことを子どもたちに体験させていく必要がある。

従って,学校では子ども一人一人の学習意欲を大切にし,子ども自らが自らの方法で問題解決するように力を注ぐと共に,子ども一人一人の心をじっくりと見つめ,教師と子ども,子ども同士の望ましい人間関係づくりができるような授業を創っていくことが大切になる。こうした授業が創出されてこそ自己実現が図られるのである。

以上,「『生きる力』としての『学力』」と「問題解決力」のかかわりについて述ベてきたが,「生きる力」としての「健康や体力」や「豊かな人間性」を育てる場合にも共通しており,これら3つは相補的で複雑に絡み合っており,総合的な取り組みによって実現されるものと考える。「『生きる力』としての『学力』を育てる」ことを,次の図のように捉えている。

「生きる力」としての豊かな人間性

2 小・中・高における授業の改造

サプテーマ「小・中・高における授業の改造」は学校の教育内容・活動の中心である授業の改造によって,「生きる力」としての「学力」を育む方策を提言しようと掲げたものである。

「生きる力」は,学校の授業ばかりでなく広範な取り組みによって育成されるものであるが,この研究では「生きる力」を育てるための授業の在り方に焦点を絞り,研究課題に迫ろうと考えた。

「授業の改造」を,教師の改造,教材の改造,学級の改造,そして,授業そのものの改造という4つの視点から,次の図のように捉え,「生きる力」としての「学力」を育てる授業の改造を明らかにしようと考えている。

授業の改造

(1) 教師の改造

「生きる力」としての「学力」を育てる主体者としての「教師の改造」を図る上で,最も効果的なも


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