研究紀要第116号 「学校の活性化を目指す教員研修に関する研究 第3年次」 -007/117page

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II なぜ,今,校内研修の充実なのか

1 学校の活性化と校内研修

「活性化」とは「沈滞していた機能がより活発に働くようになること」であるから,「学校の活性化」は,「学佼の教育目標具現の機能がより活発に働くようになること」であると考えることができる。

つまり,学校が活性化するということは,学校が学校としての機能を十分に果たすことであり,具体的には目標達成の教育活動が効果的に行われることである。(図1)

(図1)

教育目標具現のための教育活動を充実させるためには,授業の改善を目指した「実践」,つまり,「分かる授業・楽しい授業」の継続的な実践が必要であり,教師には「実践的指導力」が求められるのである。この「実践的指導力」は,研修によって培われるものであるが,特に「校内研修」は,それが児童生徒を目の前にした具体的な研修であるだけに,その充実は学校の活性化に直結するものである。

2 実践的指導力を培う校内研修

教員研修の多くは,講義や協議,演習という形をとり,その内容は概念的,理論的であると言える。

一方,各学校において行われている校内研修は,児童生徒を目の前にした研修であるだけに,その内容は具体的,実践的である。つまり,校内研修には,思いや願い,理論などを具現する働きがあり,その充実によって教師一人一人に実践的指導力が培われていくと考えることができる。

従って,校内研修の充実によって学校を活性化し,学校を改善しようとするならば,「校内研修経営」の発想と実践力が必要であり,特に,リーダーとしての校長,教頭にあっては,School−Based/In−School Improvement(各学校単位の学校に基礎をおいた研修)の考えに立ち,校内研修の意義を確かめるとともに,実践的指導力を培うという視点から,自校の校内研修の問題や目指す方向を明確に把握しなけれぱならないと考える。

校内研修の充実のため次の視点を提案する。

(1) 校内研修は,教師の力量形成の場である。

特に,教師一人一人がその能力や適性に応じて具体的な研修ができ,力量を培っていけるか。

(2) 校内研修は,実践と理論を結びつける場である。

特に,実践−理論−実践の行きつ戻りつがあり,研修成果が日々の授業で実践されているか。

(3) 校内研修は,豊かな人間関係をつくる場である。

特に,校内研修を通して,それぞれの教師の児童・生徒観,指導観などが話し合われ,相互理解が深まっているか。

(4) 校内研修は,学校経営の中心的な場である。

特に,校内研修の目標,内容,方法に関して,学校改善の取り組みが総合的に行われようとする機運はあるか。

「生きる力」を育むにしても,「総合的な学習の時間」を構想したとしても,実際に授業を行うための実践的指導力がなければ,その具現は難しいと考える。今,校内研修を充実させることは,様々な教育課題の解決の基盤を築くことなのである。


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