研究紀要第116号 「学校の活性化を目指す教員研修に関する研究 第3年次」 -009/117page
IV 校内研修充実のための管理職の関わり方はどうあるベきか1 校内研修充実のための校長の関わり方
学校教育が大きく変わろうとしている今,校長は校内研修が校内の課題解決と教員個人の教育力を高める上で基盤となるものであることに留意し,その活性化に一層の指導性を発揮することが求められている。
そのためには,自校における校内研修の課題を確認するとともに,その解決を目指し,校長として特に以下の点についてリーダーシップを発揮していく必要があると考えられる。
(1) 学校教育のビジョンを樹立する
子どもや保護者のニーズに応え得る個性的で特色ある学校づくりが求められている。校長の役割として一番大切なことは,「こういう学校にする」という構想を持ち,その構想の実現のために,教職員に具体的に語りかけ,校内研修を核として教育目標の具現を目指すことが何よりも大切なことと考える。
校長は,子どもの実態,保護者や地域の実態を把握して「校内研修経宮」の構想を明確に示したい。
(2) ミドルリーダーを育てる
校長としての校内研修の活性化を図るための働きかけのポイントは,
1. 学校教育目標に結び付けること
2. 学校教育目標達成という観点をおさえて協働意欲を喚起すること
3. 目標達成の観点に立ってコミュニケーションチャンネルを整備すること
と言われている。このため学校では,研究主題と教育目標の関連を図ったり,実態に応じた研究組繊を設けたりしている。しかし,各組繊におけるコミュニケーションが深まらず,校内研修活動がマンネリ化してしまっているという問題もある。職務についての良好なコミュニケーションの育成には,管理職の姿勢はもちろんであるが,各教職員と常に接している各分担の中心にいるミドルリーダーの意識が大きな影響を与えると言われている。すなわち,校内研修を活性化するためには,現職教育主任はもちろん校内研究に携わる教務主任や学年主任,各種委員会のリーダーを育てることが校長として必要である。
2 校内研修充実のための教頭の関わり方
教頭は,校長の補佐役として学校経営全般にわたって貢献すべき立場であり,校内研修についても校長が抱いている研究の構想や計画が具現できるように,校内の条件整備と教員個人の教育力の向上に努めることが大切である。では,どのように関わっていけばよいかについて次の3点に絞って述ベる。
(1) 研究組織を機能させるために
校内研修を充実させるためには,研究組繊を十分に機能させることが大切である。そのためには,教職員一人一人についての研修歴,持ち味・特性等を把握し,個人の研修課題の記録を作成するなど研究組織作りの資料を確保することが大切である。
(2) 研究組織を生かすために,リーダーとしての研修主任をどう生かしていくか
学校という組織体においての共同研究の充実が欠かせない。その研修の充実のためには研修主任の役割が大切である。研修主任がリーダーシップを発揮しやすいように,校内研修の全体構想の見直し,研究計画・組織の改善,研究会の持ち方等について,教頭としての適切な指導・助言を行っていく必要がある。例えば,研修主任と共同で研究構想図の中に目指す子ども像を明確にしたり,授業研究を位置付けた研究計画に改善したり,検証の視点や手立てに基づく話し合いを深めるような事後研究会に工夫したりするなど,具体的な取り組みについて研修主任への指導・助言をしていくようにする。
(3) 日常の授業を校内研修に生かすために
教員一人一人の授業に関する自己課題と校内研修との関連を常に明らかにしておくようにする。
また,スーパーバイザーとしての役割を教頭が果たしていくことも必要である。授業や学習指導について何をどのようにしたらよいのかを具体的に助言していくことが大切であると考える。