研究紀要第116号 「学校の活性化を目指す教員研修に関する研究 第3年次」 -010/117page

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V 校内研修の望ましい姿はどうあるべきか

1 小学校において,初任者研修における教科指導力の向上はどうあるベきか

小学校初任者研修における教科指導力の向上にかかる調査研究
−「授業参観」研修と「研究授業」研修の実態調査を通して−

I 研究の趣旨

初任者研修は,法令に基づき,現職教育の一環として,実践的指導力と使命感を養うとともに,幅広い知見を得させることを目的に行われるものである。その中で,教師としての力量を高めるため,初任者研修対象教員は,校内において指導教員を中心とする指導及び助言による研修,いわゆる「校内における研修」を受けなければならない。

初任者研修がスタートしてから10余年。果たして「校内における研修」の実態はどうであろうか。文部省や県教育委員会の調査や初任者研修年間指導報告書などからある程度の実態はとらえられているが,細部の実態把握は十分とは言えない。そこで,「教科指導力の向上に役立つ研修内容」や「教科指導上の力量を高めたと感じる研修」等を調査し,研究の方向性を探ってみた。その結果,「授業参観」や「研究授業」が教科指導力の向上に役立っていることがとらえられた。

以上のことから,教科指導力を向上させるための「授業参観」研修と「研究授業」研修が重要であると考え,校内で行われているそれらの研修の実態等について調査し,考察を加えることによって,教科指導力の向上により効果的な「授業参観」研修と「研究授業」研修の視点を明らかにしたいと考えた。

II 研究の目的

初任者研修における教科指導力の向上を図るための,より効果的な「授業参観」研修と「研究授業」研修の視点を明らかにする。

III 研究計画

1 調査の目標

校内における研修の実態を調査し,分析することにより問題点を明確にし,「授業参観」研修と「研究授業」研修の指導力を向上させるための視点を明らかにする。

2 研究の内容

(1) 「授業参観」研修と「研究授業」研修の実態把握

○ 教科別実施回数,研修時間及び月別実施回数について

(2) 「授業参観」研修と「研究授業」研修に対する初任研対象教員及び指導教員の意識把握

○アンケート調査より

3 研究の方法

(1) 初任者研修実施報告書(平成9年度)及び同計画書(平成10年度)から「授業参観」研修及び「研究授業」研惨の実態をとらえ,考察する。

(2) 初任者研修実施校(平成9年度)にアンケート調査を依頼し,「授業参観」研修と「研究授業」研修にかかわる内容を分析し,考察する。

4 アンケート調査調査対象及び実施時期

平成9年度初任者研修対象教員及び指導教員
(初任者研修実施校の約30%を抽出・平成10年10月実施)

IV 研究の概要と考察

1「授業参観」研修と「研究授業」研修の実態把握

平成9年度初任者研修年間指導報告書及び平成10年度同計画書をもとに,次の観点から研修の実態をとらえることとした。その一部をグラフで下に記す。

(1) 「授業参観」研修と「研究授業」研修の教科別実施状況

1.教科別実施回数(平成9年度)
1.教科別実施回数(平成9年度)

両研修とも,国語,算数,体育が多く実施されている実態がとらえられた。これらの教科はいずれの学年においても授業時数が多く配当されており,な


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