研究紀要第116号 「学校の活性化を目指す教員研修に関する研究 第3年次」 -013/117page
2 中学校において,初任者研修における教科指導カの向上はどうあるベきか
中学校初任者研修における教科指導力の向上にかかる調査研究 〜「授業参観」研修,「研究授業」研修の在リ方〜 I 調査研究のねらい
初任者研修の「校内における研修」では,初任者研修対象教員(以下,対象教員)が校内の研修体制の中で,教師としての力量の向上を図ることを目的としている。果たして実態はどうなのか。それを知るべく対象教員を対象にアンケート調査を実施した。それによると,『自分の教科指導の力量を高めたと感じる研修』として,指導教員を含め教科指導員などの「指導担当者の助言」(64%),「授業参観」(55%)や「研究授業」(49%)研修をあげており,指導担当者の影響は特に大きいことが分かった。
そこで,対象教員の教科指導力の向上を図るために,管理職を含めた指導担当者がどのようにかかわっていけぱよいのか,とりわけ「授業参観」研修と「研究授業」研修の視点を明確にしたいと考える。
II 調査研究の内容・方法と対象
1 平成9年度実施計画書と実施報告書から見た実態と考察
(1)「授業参観」研修の状況 1. 指導時間 2. 実施回数 (2)「研究授業」研修の状況 1. 指導時間 2 平成9年度アンケート調査による実態と考察
◇対象<1> …平成9年度対象教員(抽出54名)及び指導教員(抽出33名)
◇対象<2> …平成9年度中学校初任者研修講座受講者(県教育センター175名)
(1) 授業参観の機会 (2) 事前・事後研修の状況 (3) 研修の効果を上げるための条件 (4) 指導の内容 III 調査研究の概要
1 平成9年度初任者研修実施報告書から見た実態と考察
(1)「授業参観」研修の状況
・「授業参観」研修は,福島県初任者研修実施要項により,必須項目として事前・事後研修を含め,1回は実施しなければならない。
1.「授業参観」研修の指導時間
「授業参観」研修の平均総指導時間は,約12時間である。最低2時間から最高42時間と幅が大きい。対象教員の半数は,9時間以下の指導である。そのうち,3時間以下の指導を受けている者は16%である。その反面,20時間以上の指導を受けている者が19%いる。教科指導力を高めるために効果的な研修としての「授業参観」研修は各学校での実施状況に大きな差がある。
2.「授業参観」研修の実施回数
「授業参観」研修の実施回数は,平均5回である。最低1回から最高23回までと幅が大きい。初任者の21%は1回のみの研修である。10回以上の研修は13%の初任者が受けている。この場合の指導時数(授業参観の時間と事前・事後指導の時間)は,各学校とも2時間であり,事前・事後研修の時間は,長くはないが授業を観ることを中心に研修の機会を意図的に多く設定している様子がうかがえる。実施回数も1. で示した総時数と同様に,各学校での研修の実